すごい前。

ヤッチン
いっこ上。
まだチビの頃に、英会話教室で出会った。
小中学校が一緒。
バスケが上手いが、部活が肌に合わない。
しょっちゅう悪さに誘ってくれる。

トクー
いっこ上。
中学が一緒。
ヤッチンのマブ。
悪い。ハンパない。
ガタイ、ハンパない。
この代が一番あれた、とは技術担当教師のコメント。
彼のフロアに近付くとマズい、とは、下級生のジョーシキ。
こっちのツレの大介。これもハンパないガタイと体毛。後にボクサー。餌食になりかけたのをヤッチンに話通してギリでセーフという過去も。

久々に再開したのが一浪した頃、予備校の地下駐車場。
3年分の話も積もり、テンションも上がり、何となく海に行くことに。
どこで手配してきたのかデカ目の車。運転席ではトクーが片腕を窓のヘリに引っ掛けてミラー越しでこっちを見てる。

予備校がある市街地を抜けて、車の少ない通りを疾走。そっからは住んでるヤツしか知らないような白い砂利道を、車の屋根をヤシだとかバナナの木だとかに擦りながら進む。
真正面の視界が木で覆われたらドライブ終了。そこからは歩き。
既に海の匂い。道じゃない道を抜けた頃には目の前は空と海以外何もない。

騒いで、食って、積もった話も積みっぱなしにして夢中で遊んだ。
空と海が両方ともどうしようもなく真っ赤になった頃にはみんな疲れてたしどうしようもなく黙ったまま。
誰からともなく車へ戻り、無言の家路。街につく頃には見渡す限りが看板とネオンとヘッドライトでクダラナイ。

このクダラナイの直後から今の今までそのクダラナイが続いてやしないか、と不安になる。

出発地点の予備校前の通りに車つけて、んじゃー、で別れてからそれっきり。

結局、トクーはもちろん誰も免許は持ってなかったことに暫く後で気がついた。