アイスコーヒーが大好きだ。
ミディアムを頼ん事が多い。
いつもの店のスタッフなら
“あいつぁアイスコーヒージャンキーだぜ”
とネタにでもしたくなるくらいに。

いつものカフェ。
いつものスタッフ。
こっちは少しぼんやり。

レジが1名。
並ぶ客が1名。
ベテランスタッフは手際が悪いスタッフと迷いすぎの先頭の客を横目に、会計済ませた客のラテを処理。

だれがドー見たってそろそろ2個目のレジを開けなきゃだ。

その間、こっちはアホ面で列に並んでぼんやり継続。

“2番目にお待ちのお客様”

ベテランのが、ラテから解放されて、サクッと事を運ぶ。
呼ばれるまま向こうのレジに。レジに歩を進めカウンター前に到着したかしないか。

確かにこっちはぼんやりキまってた。
secでいうところの0.5くらいは溜めたかもしんない。
一般的にはこの長さなら刹那とか瞬間で通せる。いや通す自信がある。
でも今日はどうやら通させてもらえなかった。

そして耳を疑った。

“アイスコーヒーのミディアムですね”

“っん!?”

耳の次に自分を疑った。

“オーダー済ませたっけ?いやいやいや。それじゃまるっきり健忘だ。えっそうなの…?ケンボー”

くれぐれも、だ。
“でよろしいですか?”ではない。
まして一般的なマニュアルに書いてるはずの“お決まりでしたらお伺いします”とか“店内でお召し上がりですか?”でなど全くない。

言い切り型の、敢えて主語を添えるなら“アナタのケースで適当といえる選択は”だ。

まして、Sでもなきゃ、Lでもない。“ゼッタイにM”だ。
トゥモローだって、ディーゼルだってSかMかしばらく泳がしてくれるのに。

とまぁ、足すことの0.5sec程脳内に信号飛ばしまくった後、

“あっ、ウン。それ”と笑ってしまった。

要は、常連客をお待たせして申し訳ない+これ以上列を長くはさせまいという、ベテランの挽回への気合いはここに出る。

マニュアルを超えた、超えすぎてもはや客もついてけない、サービスの提供を受けた。

クラス的には、斬られたことにも気付かない辻斬りクラスだ。

今日は時間なかったからホントはSだったけど、オモシロかったからオッケな。