book

Daniel H.Pink(著) 大前研一(訳)
ハイコンセプト -「新しいこと」を考えだす人の時代-
〜富を約束する「6つの感性」の磨き方〜

1週間くらいかけて、ちまちま読み進めて、読了。

概概要としては、


世界経済の傾向、とくに途上国の経済・教育・文化水準の成長、を前提にした場合と、もう一つにはコンピュータ、ネットワークやソフトウェアの発展を前提にした場合に、労働市場っていうのは、どういう風に変遷していくか。
この近い将来の労働市場についてのPink氏の予測を土台としたときに、新たな社会において認められうる価値というのはいったい何なのか?、というのを氏が、脳や精神に関する科学的な知見を道具として、掘り下げた、と行った具合の内容。

スピリチュアルの観点からだと、『ありきたり』な内容と指摘されるかもしれない。
が、経済やビジネスなんかの世界に、脳や精神の実践的活用が(労働の提供者においても、享受者においても)有効ではないかと、畑違いのエリアに一石を投じてくれたという意味での功績はある。

個人的には、建設的な将来予測だとおもうし、世の中の捉え方としては好感をもつ。
だけど、本書副題の『富を約束する「6つの感性」の磨き方』という意味では???
どういうことかというと、「一つには途上国の進攻、コンピュータの高度化によって左脳仕事が物理的に減少あるいは減価すること、もう一つにはより右脳を活用する余地が残っていること。」だけで、先進国の将来の市民における“価値観”のあり方を定義づけるのはいささかムリがあるかもしれないな、とも思う。
上に挙げた傾向は、先進国が今の馬なりで経済的、文化的、社会的な成長を果たす事を前提にした観測におもえる。その意味で社会観が楽観的すぎる。
先進国内部での個人の所得格差が拡大してゆく果てに失業者やホームレス増加はきっと起こるし、出生率低下、高齢化は今後も続く。そういった諸問題ついて大方看過して、「人生において、生きる意義の発見こそが富だ」みたいなことが“社会として”成立しうるのか?って。

全体としてはとても読み進めやすいし、新たな視点を得るきっかけになるし、単純に面白い。
薦めできる内容とおもう。
ポジティブになれる。(ネガになる人も多いと思うケド。)

参考
PINK BLOG
大前・アンド・アソシエーツ グループ

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