『その数学が戦略を決める』
“Super Crunchers: Why Thinking-by-Numbers Is the New Way to Be Smart”
イアン・エアーズ (著), 山形 浩生 (翻訳)
知人の薦めを受けて、手に取った本です。読了しました。
簡単にまとめると、専門家 v.s. 絶対計算者。勝つのはどっちだ?、ということでよいでしょうか。(いや、ダメです。端折り過ぎです。)
回帰分析や無作為抽出、ニューラルネットワークによる統計的な処理による推測が、専門家による経験的予測を上回る確率で正解を導く、その確率が高い場面がそこかしこに転がっていますよ、というはなし。
“絶対計算者” という発想がここにきて浮上するのは、やっぱりインターネットの普及によって情報やデータへのアクセスが容易になったという社会背景としてあるのかもしれませんね。
amazon.comのリコメンド、医師の診断、ワインの味予測、大リーガーのスカウトなんかが、身近な例としていくつも掲載されています。
書中に現れるいくつかのwebサービスを最下部 “参考” に。本書を読んで興味が湧いた(でも探すのメンドクサい)方はドウゾ。
個人的には、第8章263ページ辺りの著者の8歳の娘アンナの件 ー「パパ、さっきの平均値を8回に訂正したいんだけど」というー が好みです。はい。
数学や統計が戦略を決める世界の危惧として、著者も(アグレッシブに)指摘するように、個人が投入する情報(除く、個人同定にクリティカルな情報。名前とか電話番号とか。)がバンバン別のサービスの顧客行動予測なんかに流用される世の中になるのでしょうかね?
(目的外利用の禁止)
第四十四条 認定個人情報保護団体は、認定業務の実施に際して知り得た情報を認定業務の用に供する目的以外に利用してはならない。
ということで、日本では、個人情報保護法令で保護されるかとおもいますが。
また、消費者(個人)が販売店(企業)に食い物にされるような結果はなんとしても避けたいですね。
残念ながら、直感、経験則でタラフクご飯を食べているヒトにとっては、受け入れることが出来ない内容になっていますね。
反対に、『まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか』や『ヤバい経済学』なんかがお好みのヒトにとってはエキサイティングな内容ではないでしょうか。
『ヤバい経済学』の著者スティーヴン・レヴィットと本書の著者イアン・エアーズが友人というのも、なにかしら示唆するものがありますよね。
その方角、個人的にキライじゃないです。はい。
参考
eHarmony
http://www.eharmony.com/
Perfectmuch
http://www.perfectmatch.com/
True.com
http://www.true.com/default.htm
Farecast.com
http://www.farecast.com/
Zillow
http://www.zillow.com/
The New England Journal of Medicine
http://content.nejm.org/
http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/xf2hm.htm
Realrate.com
http://www.realrate.com/
PolarRose.com
http://www.polarrose.com/
個人情報保護法令