ご冗談でしょう、ファインマンさん(上・下)
R.P.ファインマン(著)、大貫昌子(訳)
読み終わりました。
イエ、本当に残念なことに読み終わってしまいました。
ノーベル物理学賞受賞のファインマンさん。
人ならぬ未知への情熱、常に本質を見極めようとする胆力、そして素直でフランクな人柄、とても魅力的、痛快な人物です。
とにかく子供みたいに率直です。
驚きの増幅器みたいです。
謎解きを遊びに変える天才です。
とにかくエピソードの質が高い。そしてエピソードの数が多い。
エキサイティングな自叙伝です。
ここには、個人的に印象深いエピソードをいくつか上げておくのにとどめます。
“とにかく読まない手はないので読んでくださいっ” という意味合いで。
123 「モンスター・マインド」
ヘンリー・ノリス・ラッセル(!)、フォン・ノイマン(!!)、そしてアインシュタイン(っ!!)を招いてのゼミ開催。
145 「アマチュア・サイエンティスト」
今度はアリの研究です。ファインマンさん。
235 「二人の金庫破り」
なぜだか、金庫破りです。その熱心さのおかげで、錠前や金庫をあけることができます。ファインマンさん。
17 「オー・アメリカヌ・オウトラ・ヴェズ」
ポルトガル語にもすんなりと入り込みます。ファインマン式ポルトガル語、ですが。
136 「それでも芸術か?」
ヌード、ヌード、ヌードデッサン! 絵画にもトライしてしまいます。
Museum Syndicate: Works of Art By Artist Richard Feynman(アート)で作品を見ることができます。
191 「本の表紙で中身を読む」
教科書選定委員になってしまいます。ファインマン火山大爆発。
221 「ノーベルのもう一つの間違い」
ノーベル賞受賞時のエピソードです。スウェーデンでの授賞式。
245 「物理学者の教養講座」
マヤ象形文字を解読してしまいます。ただ単に暇だったことがきっかけで。
251 「パリではがれた化けの皮」
ファインマンさんはドラムも打てます。打てるだけでなく決勝戦に残る程にウマいのです。南米好きですから。
273 「変えられた精神状態」
幻覚や瞑想に興味津々なファインマンさんは、視覚、聴覚、触覚が遮断されるタンクに入り幻覚にトライします。
興味ありますよね。幻覚。瞑想。
303 「カーゴ・カルト・サイエンス」
ヤング、ラインなどの心理学者を例に挙げながら、科学のあるべき姿勢を唱えます。納得です。
最終章 『カーゴ・カルト・サイエンス』 にギュッと凝縮されることになるわけですが、全編を通読して改めて、ヒトが自由に生きる大切さについて追体験できます。
人生をあきらめたヒトに読ませたいけどそういうヒトは変わらないと思うから、自分らしく生きることにまだ希望を棄ててないヒト、若いヒトは読んで損はないです。
あと、蛇足になるかもしれませんが、
訳者:大貫昌子さんがすごくいい。下巻《訳者あがき》307も必読。
解説:江沢洋さんがグッと締める。下巻《とらわれない発想》315。
今度は困ります、ファインマンさん (岩波現代文庫)に手だそうかな、ナド。
関連・参考
人物
リチャード・P・ファインマン(Wikipedia)
Richard Feynman(Wikipedia)
Richard Phillips Feynman1918 – 1988(バイオグラフィー)
※ファインマン・ダイアグラム(Wikipedia)
※ディラック方程式(Wikipedia)
アート
Museum Syndicate: Works of Art By Artist Richard Feynman(アート)
ノーベル賞
ノーベル賞受賞者の一覧(Wikipedia)
書籍
ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫)