『困ります、ファインマンさん』を読み終えました。
ご冗談でしょう、ファインマンさん
『ご冗談でしょう、』がエピソード集なのに対して、『困ります、』はより科学観、社会観といったところにフォーカスされた編集になっているのではないかと思います。

ですので、『ご冗談でしょう、』で多数のエピソードを通じてファインマンの人柄を知って、それから『困ります、』に挑むと、思想と生き方の絡みにそこはかとない感銘を受けることができて、良いんではないでしょうか。

ネタばれ注意で、続きをドウゾ。

例によりまして、興味深かったエピソードです。

ひとがどう思おうとかまわない!(17ページあたり)
ユダヤ教会 “ラビ”の奇跡の話
ああいった奇跡に関する話は、感動を与える為の”作り話”なんですね。
これを前提として受け入れる事ができなかったファインマンは・・・

ものをつきとめることの喜び(84ページあたり)
ファインマンの息子が度を超してカワイイんです。
「『ネコ』ということばをもう言えない」んだそうで。。
これだけじゃ、ナゾですよね。でもこれが、かわいいったらないです。
そしてファインマンの父親の、息子ファインマンへの向き合い方がこの上なく素晴らしい。

ファインマン氏、ワシントンに行く(320ページあたり)
セールスマンの父親の正直さ、科学者ファインマンの正直さに胸を打たれます。
科学者のファインマンが政治のメッカワシントンでバカ正直さを発揮します。

科学の価値とは何か(326ページあたり)
「極楽の門を開く鍵」(科学の力の例え)は総てのヒトに与えられている。
でも、その全く同じ鍵で地獄の門もまた開いてしまう、のだそうです。
だから科学は良いも悪いもなく、使い方を指定することは出来ないということ。
ほっほー。

科学の価値とは何か(329ページから)
ファインマンの詩(ポエム)です。
『原子の宇宙 宇宙の原子』という結びがとっても感動的。

偶然、この詩を読み始めたときに、iPodtouch から Jack Johnson の “it’s all understood” が 流れ出しまして、甚だ個人的な出来事ではありますが、グッと効いた感動的な詩に感じられました。
(試聴はこちら。)Jack Johnson - Brushfire Fairytales - It's All Understood

訳者あとがき(342ページ)
ファインマンの友人、大貫さんによるあとがきです。
ファインマンは『無知を認める』ことを怖れない。
どんなことだって良いんだと思うんですけど、とにかく”何か一つだけ” 怖れないと決めた生き方が価値を生み、感銘を与える。そんな気がしました。

解説(345ページあたり)
『かくかくしかじかで、本書は著者の自伝とはいえない、云々』と立花隆氏が水をさします。
が、勿論といえばむろん。
それなりに、本書とファインマンと周辺の模様がガイドされていて参考になりました。
情動的には、水はさされるけど、でもとても有意義。
立花氏の『煽り』をうけつつも、次はこんなものに手を出したいです。
読みたいものが多過ぎて、hummm…

ファインマンさんベストエッセイ

ファインマンさん最後の冒険 (岩波現代文庫)

科学は不確かだ! (岩波現代文庫 社会 146)

ファインマンさんの愉快な人生 (1)

ファインマンさんの愉快な人生 (2)

ファインマンさんは超天才

関連
MubzLive|『ご冗談でしょう、ファインマンさん』を読み終えてしまった。