The Straight Story (1999,アメリカ) を観ました。

約10年前の作品になります。
実在の Alvin Straight という人物の実体験(に関する報道?)に基づいて制作された作品ということなんだそうですよ。
お年寄りを主役に据えた映画なこともあり、アメリカ中西部の穀倉地帯を舞台に、ほのぼの穏やかにストーリーは進行しつつ、それでもジンワリと胸に迫るものがあります。

旅立つ決断をしてからの頑固さ、強引さ。
旅路の途中で起こる数々のエピソード。
旅の目的を果たすその時の静けさ。

どれもユーモラスで、派手ではないけどズッシリと深い意味をたずさえて、構成されています。
各エピソードで人々とふれあう毎に、

ストレイト自身とその過去が浮き彫りになってゆくのは、さすが デヴィッド・リンチ。他のリンチ作品と比べると、ストーリーが明快だし、鑑賞中?後の気分は爽やかでした。

余談ですが、双子のエンジニアの件では、あの「大岡裁き」みたいな感じがアメリカ人にも通用するんだってことには、驚きました。

あと、個人的に。
主役のストレイトが自らの力「だけ」でやりとげることに強くこだわったのはナゼ? って部分について、ちゃんと理解できていない気がします。これはいつか知りたいポイントです。

また、2分間立っているのがやっとの73歳の老人が主役なだけあって、「いつ、なんどき、なにが?」と観ててソワソワさせられちゃうんですね。ソワソワといえば。そう。あの「強烈な好奇心 × 根拠不要の思い込み」で観る者をソワソワのどん底に陥れた、女児によるソワソワ映画の代表格「ローズ・イン・タイドランド」。
この「ローズ・イン・タイドランド」に対して「The Straight Story」は「強烈な頑固さ × 無謀なチャレンジ精神」(= 年寄りの冷や水)によって、言うなれば高齢者版ソワソワ映画という地位を確立したとも言えるのではないかと想うんですね。まぁ、ヨロヨロした高齢者をソワソワした気分で見守るジャンルに対してどれだけのヒトが魅力を感じるかは、全く定かでないんですが。

勧めてくれた、Fly-g。ありがとう