とある経緯から、ここで触れることはないと思っていたコトラーの「社会的責任のマーケティング」について少し。

とある経緯というのは、過去から現在にかけての CSR の取り組み事例、とくに気が効いたポジティブな事例、かつ企業の業績貢献になるような事例を振り返ってみる必要があったのですが、いざ思い返してみようとしたところ、案外とソラでは何にも出てこなかった自分にガックシということです。

「あぁ・・たしかぁ・・ボディショップって、、何かやって、何かなってたなぁ」みたいな。それ、普通「知らない」ってことで良いとおもいますよのレベルで。

裏を返すとこの領域、国内ではか最近はだか、べつに目立った動向は無いということなのかもしれません。個別的には、コニカミノルタがGLOBE BANKを公開してたり、王子製紙の千のトイレプロジェクトとか、なんだかんだあったりする気もしますが、その成果がどうだったのかということについてはいまひとつ聞こえてこなかったりします。

とかなんとか御託を並べていても、問題の根源はもともと記憶力がだいぶ弱いってところにあることくらいは自覚していますから、いっそここにメモでも作って残しておこうと想います。

それで、上でも挙げた CSR 関係でポジティブで、企業の利益につながってる事例を振り返ろうとしたときに、ボクの頭に真っ先に浮かんだのが、この「社会的責任のマーケティング」という本。

発売日が2007/08となっていますので、ネタとしてはちょっと古いのですが、これ以降に類まれな事例集が出たと言うはなしも聞きませんので、今のところはこれでオーソドックスなところを押さえておくというには十分と思われます。

そんなわけで、以下に本書の目次をメモとしておきます。

この目次がなかなかよく出来ていまして、企業名とプロジェクト名、それと著者による取り組みのカテゴライズが記されているので、見るヒトによってはそれなりに便利とおもいます。

では、どうぞ。(近い将来のオレ)

第1章 よきことを行う

■よきことを行うとはどういうことか
■近年の傾向
寄付の増加/活動報告の増加/善行に関する企業の社会規範の明確化/義務から戦略への転換/従来型アプローチ:義務を果たす/新たなアプローチ:同時に企業目的の達成を支援する
■なぜよきことを行うのか
売上げと市場シェアの増加/ブランド・ポジショニングの強化/企業イメージや評判の向上/従業員や金融アナリストに対するアピール力の強化
■よきことを行う際の主たる問題はなにか
社会的課題の選択/課題解決のための取り組みの選択/計画やプログラムの作成と実行/評価測定

第2章 企業の社会的取り組み

■ワシントン・ミューチュアル
コーズ・プロモーション:教師募集/コーズリレーテッドマーケティング:The WaMoola for Schools(R) プログラム/コーポレート・フィランソロピー:教育に対する現金援助/地域ボランティア:CAN!(Committed Active Neighbors)/社会的責任に基づく事業の実践:高校生インターン・プログラム
■デル
コーズ・プロモーション:デル・リサイクル/コーズ・リレーテッド・マーケティング:リサイクルに対するオンライン割引/ソーシャル・マーケティング:プリンターのリサイクル/コーポレート・フィランソロピー:ダイレクト寄付/地域ボランティア:環境効率チーム(エコ・エフィシェンシー・チーム)/社会的責任に元づく事業の実践:環境デザインプログラム
■マクドナルド
コーズ・プロモーション:インターナショナル・ユース・キャンプ/コーズ・リレーテッド・マーケティング:世界子供の日/ソーシャルマーケティング:イミューナイズ・フォー・ヘルシーライブス/コーポレートフィランソロピー:ロナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ/地域ボランティア:災害救助/社会的責任に基づく事業の実践:リサイクル
■本章のまとめ

第3章 コーズ・プロモーション

■典型的なコーズプロモーション
■企業にとっての潜在的なベネフィット
ブランド・ポジショニングの強化/事例:ベン・アンド・シェリーズと地球温暖化/顧客数と顧客ロイヤルティの増大/事例:ペッツマートとペットの里親探し/標的市場によるブランド選好の創造/事例:アリーブと関節炎財団/顧客が主張に納得し参加するための簡便な手段の提供/事例:ブリティッシュ・エアウェイズと「チェンジ・フォー・グッド」/従業員が自分たちの取り組みに関与する機会を提供する/事例:ウォルマートとチルドレンズ・ミラクル・ネットワーク/パートナーシップの構築/事例『パレード』誌と飢餓/企業イメージの強化/事例:ノードストローム百貨店と多様性の尊重
■潜在的な問題
■成功への鍵
ザ・ボディショップと「動物実験反対」への取り組み/ジョンソン・エンド・ジョンソンと「ナーシング・フューチャー・キャンペーン」への取り組み/レンズクラフターズと「ギブ・ザ・ギフト・オブ・サイト」への取り組み
■コーズ・プロモーションを検討するとき
■コーズ・プロモーション・キャンペーンのプラン策定
■本章のまとめ

第4章 コーズ・リレーテッド・マーケティング

■一般的な企業のコーズ・リレーテッド・マーケティング
■企業にとっての潜在的なベネフィット
新規顧客の獲得/事例:金融機関とアフィニティカード/コーズのために集められた資金/事例:エイボンの乳がんにさようなら運動/ニッチ市場の開拓/事例:QVCとアメリカン・レガシー財団/製品の売上げ増加/事例:ライゾールとキープ・アメリカ・ビューティフル/価値あるパートナーシップを構築しての活動支援/事例:ターゲットによる学校への資金提供/好ましいブランド・アイデンティティの構築/事例:コムキャスト・ブランドとロナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ
■潜在的な課題
■成功への鍵
ノースウェスト航空とエアケアーズ・チャリティ・プログラム/アメリカン・エキスプレス/アテナウォーターと女性のがん
■コーズ・リレーテッド・マーケティングを検討するとき
■コーズ・リレーテッド・マーケティングの開発
■本章のまとめ

第5章 ソーシャル・マーケティング

■典型的なソーシャル・マーケティング・キャンペーン
■企業にとっての潜在的なベネフィット
ブランド・ポジショニングの後押し/事例:サブウェイと心臓病予防/ブランド選好の創出/事例:パンパースと乳幼児突然死症候群(SIDS)/接触機会の構築/事例:ベスト・バイと家電製品リサイクル/売上の増加/事例:マスタング・サバイバルのライフベストと水難事故防止キャンペーン/コスト削減による収益性の向上/事例:プレメラ・ブルー・クロスと的確な抗生物質の処方/熱意があり信頼できるパートナーを惹きつける/
■潜在的な問題
■成功への鍵
クレスト・ヘルシー・スマイル2010の取り組み/セイフコの山火事防止の取り組み/ホーム・デポと「水 賢く使おう」
■ソーシャル・マーケティングを検討するとき
■ソーシャル・マーケティング・キャンペーンのプラン策定
■本章のまとめ

第6章 コーポレート・フィランソロピー

■典型的なコーポレート・フィランソロピープログラムの類型
■企業にとっての潜在的なベネフィット
尊敬される企業という世評の獲得/事例:コンアグラ・フーズと子供たちへの食料援助/地域社会における評判と全国的な注目の獲得/事例:オールド・フェイスフル中の星を輝かせたGE/産業の活性化/事例:ジャーナリズムとジャーナリストを支援するニューヨーク・タイムズ財団/確固たるブランド・ポジションの構築と確保/事例:ケネス・コールと社会的変革/地域の社会的課題に対する影響/事例:ゼネラル・ミルズによる青少年の栄養健康管理プログラムへの補助金提供/非金銭的・現物提供の機会の創出/事例:ゼネラルモーターズによる安全運転への取り組み
■潜在的な問題
■成功への鍵
マイクロソフト/コストコ・ホールセール/REI
■コーポレート・フィランソロピーを検討するとき
■フィランソロピー活動の策定
■本章のまとめ

第7章 地域ボランティア

■典型的な地域ボランティア
■企業にとっての潜在的なベネフィット
真の関係をコミュニティの中でつくる/事例:フォード・モーター/ビジネスのゴールへの貢献/事例:ヒューレット・パッカード/従業員満足とモチベーション/事例:フェデックス/その他の取り組みへの支援/事例:ファニー・メイ財団/企業イメージの向上/事例:ちぇる・オーストラリア/製品やサービスを知ってもらう機会を提供する/事例:AT&Tワイヤレス
■潜在的な問題
■成功への鍵
ティンバーランド/IBM/リーバイストラウス
■従業員のボランティアを検討するとき
■地域ボランティア・プログラムの開発
■本章のまとめ

第8章 社会的責任に基づく事業の実践

■典型的な社会的責任に基づく事業の実践
■企業にとっての潜在的なベネフィット
オペレーション費用の削減/事例:シスコ・システムズとエネルギー保護/地域社会における企業の評判の向上/事例:アフリカでのコカコーラによるHIV エイズへの取り組み/ターゲット市場におけるブランド選好の形成/事例:ナイキと環境保護的製品イノベーション/影響力あるパートナーシップの構築/事例:モトローラと米国環境保護庁/従業員の暮らしと満足の向上/事例:インテルと環境、健康、安全/望ましいブランド・ポジショニングへの貢献/事例:シルクと風力エネルギー
■潜在的な問題
■成功への鍵
スターバックスとコンサベーション・インターナショナル/クラフト・フーズによる肥満へのグローバルな取り組み/チキータのベター・バナナへの取り組み
■社会的責任に基づく事業の実践について検討するとき
■社会的責任に基づく事業の策定
■本章のまとめ

第9章 25のベストプラクティス

■取り組むべき社会問題を選択するためのベストプラクティス
1少数の社会問題に絞って支援活動を選択しなさい/2自社が事業を行う地域社会において感心が高い問題を選択しなさい/3自社のミッション、価値基準、製品、サービスとシナジーを生むようなコーズを選択しなさい/4マーケティング、供給業者との関係、生産性の向上、コストの削除といった、経営目標の助けとなりうるコーズを選択しなさい/5従業員、ターゲット市場、顧客、投資家、経営者などのステークホルダーが関心を持つ問題を選択しなさい/6長期的に支援可能なコーズを選択しなさい
■コーズを支援する社会的取り組みを選択するためのベストプラクティス
1経営目標に最も適した取り組みを選択しなさい/2コーズにおける最優先課題を解決する取り組みを選択しなさい/3ひとつのコーズに対して、現在行われていないものも含めた複数の取り組みを選択しなさい/4コミュニティ内の有力なパートナーと協力できる可能性の高い取り組みを選択しなさい/5自社が経験を有する取り組みを選択しなさい/自社が豊富に保有している資源を有効に利用できる取り組みを選択しなさい
■社会的取り組みを実行するためのベストプラクティス
1計画策定のために社内で機能横断的なチームを編成しなさい/2地域パートナーを計画策定に参加させなさい/3企業にとって明確な目的を測定可能な目標(利益)を設定しなさい/4コーズにとって明確な目的と測定可能な目標(利益)を設定しなさい/5コミュニケーション計画を策定しなさい/6追加的な戦略要素を特定し、計画を立てなさい/7経営幹部を巻き込みなさい
■活動を評価するためのベストプラクティス
1活動評価の目的を決定しなさい/2資源から得られるアウトプットを測定し、報告をしなさい/3取り組みが企業に与えるアウトカムを測定し、報告をしなさい/4取り組みがコーズに与えるアウトカムを測定し、報告をしなさい/5支援している社会的問題の状態を監視しなさい/6測定と報告を行うために適切な資源配分を行いなさい
■ベストプラクティスのまとめ
取り組むべき社会問題を選択するためのベストプラクティス/コーズを支援する社会的取り組みを選択するためのベストプラクティス/社会的取り組みを実行するためのベストプラクティス/活動を評価するためのベストプラクティス
■ベストプラクティスに対する簡潔なコメント

第10章 企業から資金援助や支援を獲得するための10の提案

提案1
提案2
提案3
提案4
提案5
提案6
提案7
提案8
提案9
提案10
本章のまとめ

引用;フィリップ・コトラー (著), ナンシー・リー (著), 恩藏 直人 (監訳), 早稲田大学大学院 恩藏研究室 (翻訳) 「社会的責任のマーケティング―『事業の成功』と『CSR』を両立する」

書いていて改めて思いましたが、ヒトって忘れる生き物ですよね。オソロシいです。はい。

社会的責任のマーケティング―「事業の成功」と「CSR」を両立する
フィリップ・コトラー ナンシー・リー
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