クリス・アンダーソン(著)の「フリー <無料>からお金を生みだす新戦略」を読みました。

目次は次のとおり。

第1章 フリーの誕生

無料とは何か?

第2章 「フリー」入門
第3章 フリーの歴史
第4章 フリーの心理学

デジタル世界のフリー

第5章 安すぎて気にならない
第6章 「情報はフリーになりたがる」
第7章 フリーと競争する
第8章 非収益化
第9章 新しいメディアのビジネスモデル
第10章 無料経済はどのくらいの規模なのか?

無料経済とフリーの世界

第11章 ゼロの経済学
第12章 非貨幣市場
第13章 (ときには)ムダもいい
第14章 フリー・ワールド
第15章 潤沢さを創造する
第16章 「お金を払わなければ価値のあるものは手にはいらない」

巻末付録①無料のルール―潤沢さに根ざした思考法の10原則
巻末付録②フリーミアムの戦術
巻末付録③フリーを利用した50のビジネスモデル

コラム一覧
どうして航空料金がタダになるのか?
どうしてDVRがタダになるのか?
どうして車がタダになるのか?
どうして医療ソフトウェアがタダになるのか?
どうして株式売買手数料がタダになるのか?
どうして電話番号案内がタダになるのか?
どうして公聴会をオンラインでタダで配信しても、高額なチケットが売れるのか?
どうして銀食器がタダになるのか?
どうして音楽CDがタダになるのか?
どうして教科書がタダになるのか?
どうしてタダの自転車貸し出しが成功したのか?
どうして大学の授業がタダになるのか?
どうして数百万点の中古品をタダで提供できるのか?

引用:クリス・アンダーソン (著), 小林弘人 (監修), 高橋則明 (翻訳) 「フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略」

事業開発方面でいうと、「巻末付録③フリーを利用した50のビジネスモデル」がずいぶん興味深かったです。

フリー① 直接的内部相互補助
・サービスは無料、製品は有料
・製品は無料、サービスは有料
・ソフトウェアは無料、ハードウェアは有料
・ハードウェアは無料、ソフトウェアは有料
・携帯電話は無料、通話は有料
・通話は無料、携帯電話は有料
・ショーは無料、ドリンクは有料
・ドリンクは無料、ショーは有料
・商品が無料
・ひとつ買うと、もうひとつは無料
・無料のおまけ
・二五ドル以上の注文で送料無料
・無料サンプル
・無料購読期間
・駐車無料
・無料の香辛料

フリー② 三者間市場あるいは市場の”二面性”(ある顧客グループが別の顧客グループの費用を補う)
・コンテンツは無料、視聴者へのアクセスは有料
・クレジットカードの発行は無料で、商店から決済手数料をとる
・学術論文の閲覧は無料、著者が投稿するのは有料
・PDF文書の閲覧ソフトは無料、作成ソフトは有料
・女性は入場無料、男性は有料
・子供は入場無料、大人は有料
・プロフィール作成は無料、詳しい検索は有料
・リスト掲載は有料、検索は無料
・旅行サービスは無料、レンタカー会社やホテルからキックバックを受ける
・売り手から料金をとり、顧客に安く売る
・物件リストは無料にし、住宅ローンを売る
・コンテンツは無料にし、顧客情報を売る
・コンテンツは無料、ユーザーが小売商を使うと紹介料が入る
・コンテンツは無料で、物を売る
・コンテンツは無料、広告主から掲載料をとる
・プロフィールの一覧は無料、詳しい検索は有料
・一般消費者がコンテンツやデータを利用するのは無料、企業がAPIを使ってコンテンツにアクセスするのは有料
・環境にやさしいエコハウスの建築プランは無料、そうした建築を請け負う業者として登録するのは有料

フリー③ フリーミアム(一部の有料顧客が他の顧客の無料分を負担する)
・基本情報は無料、くわしい情報を利用しやすいフォーマットで提供するのは有料
・一般的な経営アドバイスは無料、個別のアドバイスは有料
・連邦税計算用ソフトは無料、州税用は有料
・低品質のMP3は無料、高品質のCDは有料
・ウェブコンテンツは無料、印刷したものは有料
・お得意さん以外には高く売って、お得意さんに安く売る赤字分を補填する
・オンラインゲームは無料、そのゲームをさらに楽しめる会員登録は有料
・ビジネス・ディレクトリへのリスティングは無料、その企業に<お墨付き>を与えるのは有料
・デモ版は無料、完全版は有料
・コンピュータ同士の通話は無料、コンピュータと電話の通話は有料
・画像共有サービスは無料、追加の保存容量は有料
・基本ソフトウェアは無料、機能拡張版は有料
・広告つきサービスは無料、広告をとりはらうのは有料
・一部抜粋は無料、本は有料
・バーチャル世界の探索は無料、その世界の土地は有料
・音楽ゲームは無料、追加音楽は有料

引用:クリス・アンダーソン (著), 小林弘人 (監修), 高橋則明 (翻訳) 「フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略」

普段からオンラインのサービスを使っていれば、本書を読まずとも、無料をどう活用して収益化するかというのが、大きなウェイトを持っている事実を発見するのは難しくないと思います。反面、いざ自分が無料のサービスを使って、収益を実現しようというプランを考え始めると、急に難易度が上がる気がしてしまいます。
何故なんでしょうね。

サービス関係者個別の体感できるベネフィットと、それらのベネフィットへの値付けについて、心理学みたいな物の見方が鍵かもしませんな、とはボクの個人的感想です。あと、統計的な手法で無料と有料のバランスを作り出す腕前も要と言えそうです。それから、統計にもとづく仮説、予測を確信して、一見価値のありそうなものを、自社のコストをかけて、無料で、大勢に向けて提供する見極め力(確信度?)なんかもとても重要となるのでしょう。

んー。行うは難し。

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略
クリス・アンダーソン
日本放送出版協会
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