28日今朝方、Apple スペシャルイベントでクダンのタブレット端末 iPad の情報が発表になったみたいです。

twitter のタイムラインや各種のウェブサイトはその話題で今日一日賑わってました。ボクも今朝ベットから這い出してすぐに自宅のmacを起動して、apple.com のトップページで iPadの製品紹介ムービーを確認しました。

ボクの希望的予測では、iphone の2〜3周り大きい程度のサイズ、手近なところで言うと漫画本~バイブルサイズの手帳ほどの大きさの端末をイメージしてたので、案外大きくて驚きました。

このアップル公式サイトの製品紹介ムービーを見た範囲内で受けた印象は次のようなものでした。

この端末の利用シーンは、wi-fi 環境完備の自宅ソファーで、仲の良い1〜数名でやんやいいながら、家族のアルバムやYoutube のムービーを見る、ウェブを見るって感じがいいのかもしれない。

それからアップル側の視点からだと、次のようなことが想起されました。

従来から行っている音楽やAppやゲームの有料配信に次いで、雑誌や本を買ってもらうってのがユーザーのお財布をゆるめるフックという位置づけ。本体買わせて、通信買わせて、そしてコンテンツを買わせる、と。

それから、個別の機能に目を落とすと、やっぱりなにより最初にも触れた本体のサイズのことが気になります。対角 9.7 inchは微妙な大きさに思えます。もちろん屋外に持ち出すには十分持ち出せる大きさなんだろうと思いますが、電車の中で鞄から取り出して使うには絶妙に微妙な大きさなんじゃないだろうか。片手で本体を支えながらフリックやピンチや(キーボード入力はいわずもがな…)で、つまるところ両手がふさがってしまいそうなので、立った姿勢では少し厳しめ。したがって通常利用は座っている姿勢がメインかなぁってことです。iPhone が持っているいつでもどこでもの手軽さそのままを期待しちゃいけないってことですよね。とくに戸外では。

次に Flash のこと。今のところ、Flash を表示しないのだそうです。いわゆる企業HPなんかの一部分が見れなくなることが想定されますが、これは個人的にはあまり構わないです。というか、企業HPでなにも装飾Flashが見れなくても代替ページなんか用意されていますし、事は足りるだろうと思ってます。むしろ、ADblockの様でダウンロード量が減って良いかもしれません。けれど、サービスサイト、たとえば動画コンテンツの共有サイトなどを視野におくと、Flash非表示は難が大きく感じられます。もちろんアップルにはアップルのエコシステム維持拡大の命題と競合してしまう(ことが懸念される)といえばそうなのですが、アップルの商売の成功と引換になっているFlash絡みのコンテンツの総量とのバランスについては熟考が必要な気がします。動画共有サービス各社が iPhoneOS 専用Appをリリースすれば済む話、なのかなぁ…。

また今回の目玉と思われる雑誌・新聞・書籍コンテンツのこと。この端末はそれらの購読にはあまり適さない恐れを感じています。理由は専らこれ。現在メーカー公称で、「Up to 10 hours of surfing the web on Wi-Fi, watching video, or listening to music」。仮に約半分で見立てると5 houres。ボク自身、だいぶ遅読なほうと自覚していますから、バッテリーの持ちの面からヒヤヒヤしそうってことからだけなんですけど。映像や音声はコンテンツ自体が時間を持っていますし、ウェブ巡回は時間の継続性を意識する必要性が少ないですが、殊、読書に限って考えてみるとアマゾンの kindle が有利にも思えてきます。ただし、読み物が漫画や絵本や色や階調に余裕が必要な写真を見ることに比重を持ったもの(雑誌や写真集など)である場合には、断然アリだとおもいます。反対に、読書関係でiPadならではの期待を挙げておくと、折角、定期刊行の新聞や雑誌を配信するのだから、それらのテキスト情報と画像情報とを、既存のオンラインサービスと連携して、簡単にクリッピング〜引用できるようになってることを強く願います。しがらみか権利関係かで、もしそれらの行為が許されない場合でも、(購入した)蔵書を所持してる格好なので、せめてページ単位のBML的な機能は欲しいところです。そのあたりの機能がどうなってゆくのかは、本当に期待。

それから案外と気になったのは、本体が発するであろう熱。iPhone を持って直ぐのときに、握りしめたiPhone がホンノリと熱を帯びたのを手のひらで感じて「ぁ、これって携帯ではなくコンピュータなんだ」と実感したものです(少しだけ熱暴走みたいなことを心配もしました)。あれから時は過ぎて、今回のiPadのサイズです。このサイズの筐体で高負荷なムービー再生なんかをしたとき、果たして本体の温度の状態はどんなだろうか。排気口とかないみたいだけど、大丈夫なのか。むしろ表面積が広い分だけ放熱しやすくて有利なのか。また手のひらの中に握り込まない分冷却されるのか。あるいは、かなりHOTな状態で猫大喜びなのか。気になります。

あとはOSとアプリケーションの動作の速度。これは色々見て回ると概ね高評価ですね。だいぶ動作速度は早く快適なようです。これは気持ちよさそう、単純に喜ばしいことですね。でも、この点に関して個人的に期待値MAXになったのは、iPadそのものの使用感についてではなく、今回の速度向上のハード的ソフト的な成果を次期 iPhone に投影してくれたらどれほどシアワセか!という点でした。

ナド、ナド、ナド、ナド…。

iPad は買いかどうかという点について、ボクはまだ結論づけができていません。iPad を使ってみたいかというと確実に使ってみたいです。体験してみることで得る喜びが多いのがアップル製品と思ってますから(やや褒めすぎました)。実際に普段の生活の中で使ってみるまではどうとも言えませんが、今回、製品が噂の域を出て現実にボクらの目の前に出現したことによって、iPhone とラップトップPCの中間ってのは、思ってたよりレンジが広いのかもしれない、ってことに目を向けさせられた気がします。
自宅で利用、オフィスで利用、屋外で利用、運転中や移動中に利用、プレゼンテーションで利用、もちろんその他にも。どの利用シーンで iPhone とノートPCの中間の役割を果たすのか、それぞれの在り方は違いそうだなということを考える契機にはなった気がします。

また、どこかのサイトで誰かが「SDカード刺さらない shit!」って感じの指摘をしていました。確かにこれは絶対にニーズはあることだろうと確信されます。カメラマンとか写真好きとか(ボク自身とか)にとっては、撮影したその場で SD カードをiPadへ刺して写真データをダウンロードして SD カードを空にする、なおかつ写真の出来を直ちに確認するにはとても良い端末になると思われるわけです。確かに思われるのだが、そういうことを重々わかってて、アップルはやらない。そういうニッチなシーン(いや、ボクからしたらだいぶ大きいと感じられるけど…)は狙いじゃない。もっと大勢に、もっとパジャマで、もちろんデイリーで使って欲しいと考えているのだろうと思う。たぶん。
シングルタスクにせよ、iPhoneOS(snow leopardでなく)にせよ、意識的な引き算が、そのへんの確信犯ぶりを指し示しているように感じさせます。

今回のは本当のライト・ユーザー層の裾野を広げる製品。彼らはこの端末を使って情報発信するわけでもなく、仕事するわけでもない。あまりコンピュータを触らなかった、使わなかった、使う必要もそんなにないヒトたちへ向けた、自宅リビング据え置きのエンタメ専用マシン($500〜700)って気がしなくもないけど、どうでしょうか?
ママはキッチンでレシピ、パパは庭先で読書、ぼくちゃんはゲームを独り占めって具合で、なんとなく昭和の夢を今あなたの手に、ってのも悪くないんじゃないかと思います。

そうすうると流れ的には、自宅のデスクトップマシンの出番は激減し、家族共有端末へのログインの手間は iPad の一戸あたりの台数でカバー。仕事はmacbook Airでこなし、オンタイムのコミュニケーションは iPhone で行います。

ただしそれだと巡り巡って「大きい iPod touch なんじゃ…?」ってことになる危惧を覚えるわけですが、あっちはウェアラブル性重視の聴覚プレーヤー、こっちは視(&)聴覚プレーヤーってことで、案外地味に棲み分けられてるのかもしれません。

とかなんとかで、結局ボクは使ってみないと判らないから、使ってみたいよぉーという話でした。