ストック型のビジネスモデルなるものを口にする人を見かけます。その度に辟易を越してウンザリしてます。

私の体感値で言うと、社内中堅どころの、わずかばかりの決裁権や発言権を備えた、リーダーシップ自認のMBAホルダーなんかに多いんではないかという気がします。事業部の効率のよいお金の稼ぎ方の設計の話かなにかをしているのだとは思いますが、実態が良く判りません。困っています。

どなたか詳しくご存じの方いましたら、教えてください。


って、okwaveみたいな書き出しになりましたが、冗談です。

冗談とはいっても、この近辺で疑問とフラストレーションを抱えているのは事実でして、まず先に断りを入れておくと、過去何度かストック型、フロー型について調べてみたりしたのですが、「あ、これのことか!」っていうまともな文章には未だめぐり合うことが出来ていません。つまるところボクのステータスとしては、企業経営の、事業の、ビジネスの、どこの部分を切り取って、それらの類型の話をしているのかすらボクには理解出来ていないということです。
そういうお粗末な状況のボクが語るので意味は無い(どころかノイズになる)かもしれないけど、彼らにおいてははっきりとしているのか、今度、一度とっちめたいと思っています。

まず、具体的に理解のしようがない部分を引っこ抜くと次の2点。
一つ目がストック/フローと呼んでいるもの事の対象についてですが、富(金)のストック/フローのことか、情報コンテンツのストック/フローのことか、人(会員ユーザー)のストック/フローのことか、ナレッジのストック/フローのことなのかすら測りかねています。
二つ目が対象についてと同時に、何を敷居としてストック/フローを峻別しているのか、そのあたりについて関しても汲みかねています。

最初の行で挙げたウンザリ心象のポイントについて少し詳しく言及すると、彼らにとって「ストック」って言葉の響きが(楽できる的な面で)魅力を放ちすぎてて、語感に振り回されちゃうんだろうな、もう半歩突っ込むと言ってる(または気づいている)自分に多少酔ってる節があるんだろうなという印象を禁じ得ないワケです。何度も言いますがボクはこのあたりに割かし疎いので間違ってるかもしれないけど、どうやらここで言うところの「ストック」の対義語は「フロー」ってことになっているぽいです。そしてボクの理解だと、どだいどこまでいっても、フローとストックに明確な区分はなくせいぜいが地平の両端にある地続きに2個の名前をつけたに過ぎないようにしか捉えられないのです。でも彼らにとって、フローとストックの両者は致命的に異なる構造であり、かつストックは紛れもなく選ぶべきものであり、なおかつ「一般の人ら」はそういう肝心な点を見落としている、又は哀れなことに知識が不足しているがために「フロー」型を選択しているのだ、というような論調に陥っているように見受けます。もちろん、自分自身がこれまで哀れな構造を背負って頑張ってきた反動なんかも多分に含んでいる場合もあるでしょう。(本来であればチョー楽勝で予算達成できるはずの能力を備えたこのオレが、あのにっくきフロー型に苦しめられている。構造こそが問題だ!)

で、これを簡潔にまとめると、語感に振り回されるエモーショナルな彼が、永続性あるまともな事業とサービスのことをどれ程考えているだろうか。そういう点です。率直に言うと、相当疑わしいわけです。

ボクにとってのビジネス、新規事業の立ち上げ、既存事業の拡張(起業はしたことないから入れてないけど、たぶん似た範囲にある)は次に挙げるようなものです。
僕らの経営が初期投資できる上限と、僕らの事業体に許された能力や人員数の上限と、(もしある場合には)事業を通じてなにかしら少しでも世の中が前進向上するビジョンと、必要性か利便性か面白みを感じてサービスを受け取ってくれるたくさんのエンドユーザと、そこに介在・支援してくれる幾つかの協賛企業とから構成されていて、これらの登場人物のそれぞれが、少なくとも誰も損をすることなく、できれば幾許かずつ獲るものがあってニッコリできることだけでもだいぶエクセレントと、ボクは考えています。
無論、その中で、事業の永続性と、収益の最大化について検討し、試算し、課金モデルの体系化も可能でしょうが、基本的な骨子として、製品あるいはサービスを通じて(事業体が)対価を得るという構造は普遍なので、サービスあたりの初期・運用コストから、顧客当たりの単価か利用当たりの単価は自ずと割り出されるもの。この時点で、収益の全体ボリュームはだいたい決まってきます。

例えば収益のストック/フローにテーマを絞って眺めてみると、ユーザーに対する課金の方法や支払い期間と、事業側の収益におけるストック的性格とは、ほとんど無関係にみえます。
強いて言うと、初期投資をどれだけの期間をかけて回収するか、という物凄く従来通りのテーマしか見当たりません。
しかし普通の手続きで思考を進めれば、課金方式を選択する手立てはそう多くない現実があるはずです。当該のサービスが長期間提供を受け続けたいものなのか、または1回コッキリで済ませてしまいたいものなのかというサービス自体の性質と符合した買い方(契約の仕方)をユーザーは選択しますから、他所のサービスがどういう風にユーザの選択しやすさを築き上げているかの方が相対的に重要性を増すはずです。なので、その近辺には、僕らの通帳の都合で決めることなんてそこには見当たらないように思えるわけです。
当然、年間契約と月次の支払いを断行することもできるだろうけど、結果ユーザー離れは免れないので、結局、収支上はその分不利になることを改めて試算に織り込まなくちゃいけません。すると収益の総量は当初試算よりマイナスというオチです。

だもんだから、提供者側の通帳の記帳イメージから逆算した収益モデルに基づいて生み出される事業とサービスなんぞはほとんどのユーザーにとって魅力が無いか、支払い方法とサービスの価値が合致しないものに仕上がるはず。100%とはいわないけど、大方の場合はそうなると思う。

でなきゃ、みんなとっとと、入会2ヶ月目以降非アクティブ率 80%オーバーくらいの年間契約会員制スポーツクラブでも開店してますって。はたまた、目もくらむような初期費を投じてライフライン事業みたいなものや、膨大な研究開発費を投じて権利ビジネスやるとかしたらいいじゃないの。それがオーバーな表現であるなら、不動産経営とか、データセンタような感じの事業を営むことを考えてみるといい。そしたらみな喜んで、生涯合計数百万のサービス使用費を毎月あなたの口座に自動的に振り込んで、あなたの通帳内の数字のストックを応援してくれるでしょうから。
それからストック型を標榜するアナタがすぐに実施すべきストック型への転換施策として、自社のオフィスを賃貸契約していることから直ちに止めることをオススメしたいです。相手あってのことであるサービスより何より、それの方が手がつけやすいでしょうし。

ってね。

投資家目線かなにかであれば、数多ある事業を類型理解する方法論としてそういう見方もありえそうですが、より事業づくりによった立場のボクのオツムじゃ、何のことやらサッパリすぎて、その手の情報商材かなんかなのか?と思えてしまいます。

事業家である彼らがストック型とあるいはフロー型と呼んでいる物事のそれぞれの状態が明確に示されて、またその両者の内ストック型こそが彼らにとって有益であることをお祈りします。