新しい事業や新規サービスの計画、開発には、とても多くの人の確認や承認や後押しが必要になる。
だからこそ入念に事業化の目的や、目標、マネタイズの方法やサービスの品質の妥当性や実開発にかかるコストの試算、それからプロモーション規模などなどなど…、相当数の重要と目される項目をなるべく定量的に調査し試算し可視化しながらその妥当性をオープンに評価しあい、一歩いっぽくさびを打ちながら着実に進むという、ド確実な手法を選択してしまいがち。事業計画の練り直しなんて自体は、できるだけ避けたいですからね。


だけど、あまりに石橋をたたくこと、万人の得心へ注意関心を向けすぎると、もはやどんな石橋を見ても「この石橋は確実に壊れる」「市場の読みは確実に外れる」「サービスは受けない」「というか本質的にユーザーのことを理解できてなどいないのではないか?」という恐怖感が先にたってしまうヒトもいる、ような気がする。無理もない。結局のところ、サービスなんて、やってみなくちゃわかんないんだから。
じゃ、思い切ってその注意深さを捨て去って直感か信念か志かネームバリューかに頼って事業計画書をぺぺッとまとめて通過させてしまうことが許されるのですかというと無論そんなことはない。確実に一定のコストを支払って、社の看板を掲げて実行するわけですので。経営者も、役員も、部長も、ほとんど関係ない他部署の声のデッカイおっさんも、誰一人として自分じゃやったことのない「市場調査」や「評価結果」なんかをここぞとばかりに担当者へ求めてくるのだから。

そういう状況で、ふと頭をよぎったのが、ソフトウェア開発の世界で一時言われていた(今も言われているかも)アジャイルって開発手法のこと。

wikipedia によると、アジャイル開発というのはこういうことらしい。

アジャイル開発手法においては、開発対象を多数の小さな機能に分割し、1つの反復 (イテレーション) で1機能を開発する(⇒反復型開発)。 この反復のサイクルを継続して行い、1つずつ機能を追加開発してゆくのである。 おのおのの反復は、小規模なソフトウェア開発プロジェクトに似ている。 各反復では、それまでに開発した成果物に1つの小さな機能を追加する。 計画、要求分析、設計、実装(コーディング)、テスト、文書化といった、ソフトウェアプロジェクトに要する全ての工程を、1つの反復内で行う。

アジャイルソフトウェア開発|ウィキペディア

もちろんボクはソフトウェアの開発を担当しているのではなく、新規事業と相応しいサービスを実現する・させることが目下の使命なわけなのですが、時にはこういう他所の考え方も参考にできるのではないかと言う意味でアジャイル開発を想ったということです。
(もっとも、アジャイルが良い手法として定着しているのか、それともけしからん手法としてとうに消え去っているのかさえ知らないのですけどね。)

出資者、経営者的には、大きな投資をギャンブルにするわけにはいかない。成功の確度を高めなければならない。中期の収支計画に妥当感が欲しい。投資回収のブレも避けたい。
一方開発担当者は、どんなにマーケットの情報を集めてみても、所詮はデータでしかない。自分の思い描くサービスが必ずしも大勢に受け入れられるとも限らない。いつ、私よりも気の利いたライバルのサービスが登場するかも判らない。ユーザーにソッポを向かれるかも判らない。考えれば考えるほど、調べればしらべるほど、知れば知るほど、新事業と新サービスについて、ゼッタイの成功は霞んでゆく。

ならば、小さくちいさく、はじめませんか?コストも小さく、ターゲット規模も小さく、上がりも小さい。そいういうところから初めて、小さな成功(もしくは小さな失敗)の高頻度な積み重ねと柔軟なサービス展開の果てに将来の大きな事業を望んでみませんか。そういう進行方法の選択もあるかもしれないナ、とかなんとか。

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