もの凄くフツーな事でもうしわけないのですが、この週末に歯科へいきました。
金曜日の日中から右上の奥歯に酷い痛みを感じはじめ、約丸一日ほど頭痛薬で胡麻化していたのですが、虫歯悪化への不安が限界を迎えてようやっと歯医者へ行く決意をしました。

元来、ボクは歯の手入れのため歯科医院にいくのは、むしろ好きだった方ではないかと思います。自分の歯磨きではやれる限度がありますし、毎日毎回歯間ブラシというのもなかなかおっくうです。とはいいつつも虫歯になって歯を失うのは極力避けたいですから、結局は歯科医院にお世話になるのに越したことはないと思っています。それから、治療ではないですが、歯科医院でやってもらえる歯表面の掃除(ホワイトニング?)なんかも仕上がりがとても気分がいいですしね。

ところが、ここ数年はできる限り歯医者を遠ざけるようにして生きています。歯医者を遠ざける唯一で最大の理由は、歯を削る音や治療に伴う痛みなどではなく、嘔吐反射です。

この嘔吐反射、正式もしくは一般的な名称なのかどうか定かででありませんが、要するに喉の奥へ指を突っ込むときに起こる例のアレのことです。喉奥あたりを刺激するとオエッとなるのはもちろんとして、歯磨きの時に奥歯付近へ歯ブラシを突っ込むと起こる、というのが嘔吐反射の良くあるシーンとおもいます。僕の場合はこの反射が引き起こされるトリガーが口腔内の割かし広い範囲にあるみたいで、なおかつ凄く小さな刺激ででも反射が引き起こされてしまいます。

その程度を伝えるために歯医者で頻繁に行われる施術を引き合いに説明すると、上顎もしくは下顎丸ごとの型取り。これはまずは違いなく反射を引き起こしてしまいます。それから部分的な型取り。これは部位によっては何とかクリアできますが口腔内の奥の方はやはり厳しいです。治療中に口の中の液体を吸い出すバキュームが舌の根っこの側の辺縁に添えられると、これも反射を引き起こします。また、噛み合わせチェックの色付きのオブラートくらいに薄いシートを奥歯で噛むことや、部分レントゲン用フィルムを含むこと、さらに歯への被せ物を接着する時に行う綿を数分の間噛み続けるというのも相当の確率で反射を誘発します。
ボクが歯医者を全力で避けるようになってしまった原因の説明としてはこんなもんで十分ではないかと思います。このような嘔吐反射によって、ひとつには反射そのものが辛いということが挙げられます。自分の意志で如何ともし難い反射で、喉の奥がグッと締まってしまうのは、それ自体結構辛いです。呼吸が辛いし、腹筋も収縮するし、吐きそうですし。それからもうひとつには、この反射のせいで治療自体が難しくなることが挙げられます。実際かなり作業が難しくなると思いますし、余計に時間もかかるんではないかと思われます。また、例えば歯を削っているその真っ最中であってもお構いなしに反射運動が起こりますから、治療する側もすごく緊張を求められるかもしれません。あるいは中断の度にイライラを募らせてしまうようなところもあるでしょう。そういう一次的、二次的な理由によって、できるだけ歯医者にはお世話になりたくないと常々しかも結構深刻に思うに至ってます。

が、今回は患部にかなり具体的に奥歯の根の方に痛みを感じて、これがよりいっそう進行するとが懸念としてハッキリ感じられたので、渋々ですが予約して行ってきたというわけです。ボクの歯医者に対する姿勢は前述の通りですから、これは結構な決断であるわけです。どうだ。

嘔吐反射がある場合、歯科医院選びは重要です。ボクは酷いときには「もう…治療辞めますかっ!?」てヒステリーを起こされた事もあるくらいです。医師として根本的水準に問題を含んでいる気がしなくもない事例ですから引き合いに出すのは違うかもしれませんが、ともあれ、医院と医師の選択についてはもの凄く慎重です。
結論から先に言うと、今回ボクは嘔吐反射について見識(たぶん経験も)ある医師に会う事ができました。偶然の賜物ではあるのですが、これは心底嬉しい。嘔吐反射がない人には理解してもらえないかもしれませんが、反射について理解を持って治療に当たってもらえる場合とそうでない場合とでは、治療を受ける側の苦痛の量に明らかな差があります。今回の治療は肉体的にも精神的にも楽に進める事ができそうです。

偶然ばかりにも依存していられないため、事前にいくつか調べてみたところからの情報になりますが、嘔吐反射が深刻で全く治療にならない場合には全身麻酔をして治療に挑む選択肢があるようです。これを選択する場合には、麻酔科があるような大きな病院へ行く必要がありそうです。それから、気分をリラックスさせる目的で使う笑気麻酔という選択もあります。笑気麻酔は総てのという訳ではないみたいですが比較的多くの歯科医院で提供されています。加えて、個人的な体験ですが、キシロカインを使うとほんの僅かですが反射が緩和されるような気がします。キシロカインは大半の歯科医院に置いてあると思われるので反射がある人は試み的にお願いしてみるというのは容易だとおもいます。というわけで、嘔吐反射に対してはここに挙げたものに限らず、いくつか対処のバリエーションが存在しているみたいですから、無闇に我慢をする必要はなさそうですし、なにより歯医者から足が遠のく〜あるいは歯医者へ行かないという最も好ましくない選択を避けることもできそうです。
いずれにせよ「オエッてなります」という自己申告を初診の手前に伝えておかないことにはどの選択肢もあって無いようなものですから、嘔吐反射で苦しんでいるひとは、取り敢えず確りとその旨を伝えるようにしましょう。

月並みすぎて、聞き飽きすぎて、いかがか? と思う表現を敢えて選びますが、それにしても信頼できる医師選びがなにより大切とか、しみじみと思います。