Mubz snap

ポスティングされたチラシ。数日の間、1Fのポストを放っておくとこうなります。山というほどではないけど、容量のちいさい集合住宅のポストにはちょっとキツい量。一日仕事して、疲れて帰ってきて、ロビーのポストに立ち寄って、ダイヤルを合わせて蓋開けて、そこにミッチリと捻じ込まれた紙くずの山を見ると、あまり気分よくないです。ややもすると、本当に必要な郵便物とかも一緒に捨ててしまう危険もありますしね。

で、やっぱり結論としてはいいかげんチラシのポスティングという広告手法はもう止めたらどうだろうかと思うわけです。住所の情報だけを頼りにして無差別に広告を撒き散らかすということで定義するなら、ネットで言えばスパムメールやスパムコメントにあたるものだからね。もう一歩対比を深めると、まともな企業名が入ったスパムメールは無いけど、まともな企業名が入った無差別ポスティングチラシはすごく沢山あって、その辺の質的な事柄への判断力について、相当違和感。

それにあれはあれで貴重な天然資源とお金と時間と知恵をかけて作られたものなわけで切ない。一戸あたり何円かはしらないけど。数円ってとこかな。紙にインキに、DTPに編集に、そして印刷にポスティングにという具合で。一応の手間ひまかけてやってるわけ。その手間ひまの結果が生み出していることがらは、99.9%以上の生活者側の迷惑と、0.1%未満の配信側の商談の機会獲得というね。アンバランス。

金かけりゃやれることであったり、法律上はギリでセーフなことではあるんだろうけど、まあなかなかどうしてはた迷惑な企業活動なんですよね。おおかたの常識とモラルある企業はそんなことはしない。頭のまともな部長ならそんなものにOKは出さない。手当たり次第のポスティングのその手前に踏むべき手続きとして、なんらか別の手法で見込み客リストを作る努力を考えるはず。初めましてのコンタクトポイントを設計するはず。町内のお祭りに協賛とか、衆目を集めるハッピーなコンテンツとかの出会いの演出。本来そこにこそ金と時間と知恵を注がなくちゃなんない。そういう面倒をショートカットして、住所これすなわち見込み客として、代行業者を利用して、他所のポストを蹂躙するってんだから、結果としてはたいそうな狼藉者であるのに違いないんだ。

で、実際のところ。PC前で日がな数値データとにらめっこしている担当者に悪意があるとは思わないんだけど、少なくとも無責任だとは思えます。認知だとか売上げだとか来場数だとか、目標数値との追いかけっこで日々大変だとは思うけど、自分が作った情報が生活者に受け取られるその瞬間一体全体どんなんなっちゃってんのかについて、自分事として理解してみると色々と捗るよね。それから紙面構成だとかキャッチだとか決定するのも写真素材の手配管理も、外注先とのコミュニケーションも、文字校正も、色校正とってちょっと出方が違うんだよなとかウンウン唸ってるのもそれぞれが専門的なお仕事だけども、どんな努力も専門性も読まれないものに費やしてりゃあ、無駄という他ないんですから。

で、本当のところ無駄をしてる資源的余裕は無いし、人的リソースも無いでしょう。ただ、沈んでゆく景気の中で悪あがきしてるにすぎないんだ。自分より水面に近い何か、浮力がありそうな何か、あわよくば丘に確りと根付いてる可能性がありそうな藁という藁すべてに、むやみやたらしがみつこうとしてるんだ。それでまた悪いことに、極たまにそれこそ0.001%くらいの確立で、5,000万円くらいのマンションを契約しちゃうような確りした藁が1本だけあったりするもんだから、なおさら始末に負えなかったりもするんだろうけどさ。ギャンブルから足を洗えない人みたいに。「たまに」な中毒性にやられちゃって止める判断ができないというね。そういう意味じゃ、経営者はオペラント条件付けの使い方を間違えないようにしないといけないね。やりかたによっちゃ動物はどこまでもバカになるから。

まあいいや、狼藉者の心配してやる必要なんか無い。とにかくボクのポストはビッチリなるのはイヤだ。そのチラシせめてしかるべき当局に許可をとって、しかるべき人頭を割り当てて、街頭配布にでもしてくれないかな。反対にボクの方で協力できるとしたら、従来の4色のチラシは止めてソイインキ1色刷の新聞紙サイズの再生紙利用にしてほしい。そしたら、ボクはそれを丁寧に仕舞っておいて追々自転車を磨くときに零れるコンパウンドの受けに使うとおもうから、そのときに出会おう。少なくとも日用や急場用の引っ越しサービス、廃棄物回収サービス、ピザ、寿司、弁当のデリバリーサービスはそのときの出会いで事足りる。そもそも、彼らはもっとモバイルのプラットフォームに力をいれたらいいよ。最新メニューが見れて、お得なセール情報が漏れなく届いて、注文まで可能なアプリをリリースしてくれたらダウンロードしときます。
それからね。ボクとアナタが誰かなんてことにはお構いなしに無断でチラシをぶち込んできてる時点でその企業への信頼ゲージは大幅マイナス値にあるわけだから、不動産とかマンションとかの長期契約、長期メンテナンスな商品はもうほとんどいいことはひとつもない。付け加えるとガイアがどうのリバーがどうのヒルズがどうのゆとりの時間がどうのゴージャスな空間に包み込まれてどうのこうのと歯の浮くようなヘンテコリンなコピーで攻めてくるから迷惑の上塗り。そういうヘンテコがしっくりくる層もいなくはないんだろうから、別口で富裕層マーケティングとかを開拓した方が馴染みがいいんじゃないかとか思います。


パーミションマーケティング―ブランドからパーミションへ