コンサルタントには机上の知識はあっても実地で鍛錬された経験は及ばない。会社(か事業体か)の真の内部事情を知らない。だから彼らが示すソリューションなんか使えないダメなものであり大いなる金食い虫である。
というロジックの元に、コンサルティング嫌いを正当化する人ってものすごく大勢います。まあサラリーマン社会ですから、本来自分へ寄せられ、そして達成されるはずの果実を部外者に持って行かれるわけで、嫌いに決まってるわけですが。
ボクの知ってる範囲に限れば、知識はもちろんとして経験はコンサルタントの方が勝ってる場合の方が多い。というか、もっとリアリティ添えて言うなら話のわかる人が多い。それは単純に経験の回数、知見の量からくるものだと思うし、もう一つ付け加えるべき事があるとしたら、柵(しがらみ)に捕らわれず真の課題を見分けるセンスに長けている場合が多い。まあセンスが長けた分だけ、たとえば冷たい人に見えたりする場合もあるけど、一緒に酒を飲めば青臭く暑苦しい想いを語ってくれたりもする。ランチにカレーライスを食べながら愚痴を聞かせてくれることもある。

たとえば中堅どころの会社に身を置くサラリーマンでまともな MA を経験することは勤続期間中何回ある?それと比べて MA に強いと唄うコンサルティング会社のコンサルタントとしてなら、MA は通常業務であり、その難しさを主体でないとはいえ乗り越えるトライをしてきた実績者といって良いじゃないか、と思える。万が一担当する MA 案件が失敗続きであったとしても、それでもなお場に立ち会った回数、見聞の量でいえば専門でやってるコンサルタントにかなう訳が本来無い。

あくまでも一般論としてになるんだけど、法人であれ個人であれ通常は自分たちが思うほどに自分たちはユニークな存在ではないというのが世の常であるからして、「当社ならではの難しさ」として挙げられる項目はだいたいいつも一緒であることの方が、コンサルタントの眺めのあるべき姿なんじゃないだろうかと思う。というかそこの部分の知見を頼って、その難しさを発生前に未然に押さえる回避するためにこそ、コンサルタントを雇うべきなんじゃないかと思う。事を起こさないスキルがあれば、事は起きないのであり、事がおきなければそこへリソースを支払う必要もなくなるのであるからして。起こらなかった出来事の費用換算はいつだって難しい。が、難しいからといって省略しちゃったら建設的な前進が無い、再び未熟なままリスク機会へ挑むということでもある。

で、コンサルタントってのは知識ばっかりでダメだよと言っている人物に今度巡り会うことが出来たなら、そのときに是非聞いてみたいのは「それは具体的にどこ社の誰さん?」ってこと。これは具体的に誰なのか知る必要があるということと、もう一つには言っている本人の偏った記憶の操作実態を知りたいがため。もし万が一そういう知識だけでペラペラやって金だけ毟り取っている詐欺みたいなのが業界の中に沢山いて、もはやコンサルティング業界などというものは信用に足る存在で無いという決着がついているんだとしたら、それは忌忌しき問題であり、真剣に何とかしなくちゃならないことですよ。経営コンサル、上場コンサル、人材コンサル、事業コンサル、製造コンサル、売り場コンサル、ITコンサル、資産運用コンサル、会計コンサル、ウェディングコンサル、生保コンサルというぐあいに、ここもあそこも優れて専門的知見を有して回り道や無駄をカットし、可能な限り効率よく成功を導くべきコンサルティングだらけですから。

でも、ボクの経験からいってそういう「はずれ」はたまにしか居ない。フリーランスで自称コンサルタントのどうしようもないおじさんとかそういう次元の。そしてこういう「はずれ」は往々にして社長や誰それさんの知り合いってところでの紹介案件が多い。そういう場合は素人にお願いしたとおもって諦める、なるべく早く契約を切るしか無い。のに、むしろこういう場合の方が、顔のつながりの手前切るに切れないという 1mm もビジネスにそぐわない理由でダラダラ続くものであると心得てます。はい。それになにより、出来る人も出来ない人もいますとも、合う人も合わない人も、一般のレートでまぜこぜになっているに決まってるんです。それに加えて、三冠王になる者も居れば、送りバント

でもさ、冒頭書いたとおり、社員たる自分が受け持つべきであり自分が成功者であるべき(だと健気にも本人が思うところの)仕事を余所の訳もわかってないようなヤツに持って行かれたという心情的側面、少し克明に言うならばあわよくば自分だけが(持ち前の能力と忠誠心によって)年功序列から飛び級したいそれに自分は値るするという利己主義的気分、が大いに作用しての、コンサルティングはダメ論、なんじゃないかと思えるんですよね。あとは、コンサルティングはダメだと声高に言っておけば、後に課題解決が果たせなかった場合に、自分の正しさを証明する格好になりますから、ね。伏線として張っておいても損は無いという。

なににせよ。コンサルティングという職種業種をひとくくりにして彼奴等は全部ダメなんであるなんて言説は無い訳で、人を見て、人と仕事をしたらいいですよ。どの業界にも出来る人はちょっと居る。出来ない人も沢山居る。かみ砕いた実態として残るのはそういう有様でしかないわけですから。社内競争で勝利したい、自分の言説こそが真であると証明することで周囲の者どもをひれ伏させたいだけのマインドなら選択は難しいと思うけど、もしも社業を本気で成長させたいと願ってるならうんざりするような玉石混淆の中からでも頑張って優れた人を見つけ出してその玉の人と前向きな協力関係を築くやり方の方が、自己証明のために可能性を握り潰すより、全体への益は多いと思いますよ。

外部のコンサルティングがどうとかこうとかぶつくさ言ってる余裕があったなら自分の課題解決ライブラリーを粛々増やしたらいいですよ。というかなんで日曜日にこんなドンヨリしたこと書かなくちゃなんないのかしら。それもこれもウッカリ深遠なる SNS を覗き込んじゃったせいなんですな。


選挙の経済学 投票者はなぜ愚策を選ぶのか