ついさっき数え上げたところ、Mac AppStore から計31件のアプリをダウンロードして、全部じゃ無いけど、使ってる実績がある。新しめの機体とはいえ MacbookAir がさほど高い負荷に耐えられるとは想ってないためお遊びアプリみたいなものは殆どの場合無視してるので、31 は実用で、金額の大小はともかく有償アプリがそれなりの割合を構成してる。明日には32になってる可能性も十分ある。

Mac AppStore が世の中に誕生してからこっち、Macアプリに関してはすごく身近なものになった。古くから Mac を愛用してる人たちなら、アプリのことやアプリ開発者のことや配布してる場所のことをよく知ってるかもしれないが、ボクはアップルフリークじゃないので、そういうことには疎い。fetchが便利よねとか、Jchecker便利ねとか、そういうとは職場で他人から教えて貰った。自力で探し出せやしなかった。といえ、Mac が便利だと言いつつその実便利を支えるのはアプリなわけだからアプリを知らないのは結構ダメージ。

そこにMac AppStore。これはフリーキーじゃないボクを含む一般の人ひとってはアプリを知る、アプリを手に入れる福音になったとおもう。

まず甚だ低い価格設定でアプリが買えること。これはアップル自身も Stror 開始後間もなくに、 自社製品 Aperture 価格を従来と比べて大幅値下げした過去経緯があるので、相当意図して市場全体の低価格化と流通量拡大を狙っただろう、と。その主眼は自ら主催の市場に大勢の人が来訪すること。で、その副作用的に発生したのは、アプリは安い=買えば手っ取り早い、少なくとも違法コピーの URL だかインチキのシリアルだかを探し回って夜な夜な彷徨うよりも購入の方がよりコスパに優れる、というマインドセットが、深浅問わず Mac ユーザーに確立したと思う。

それからアプリの管理が楽。こないだメーカーのウェブサイトから直接 MarsEdit のトライアルをダウンロードしてて、それの試用期間期限 1 ヶ月が昨日やってきて、さてじゃいよいよメーカーからライセンス買うかって際。一寸迷ったけど App Store の方へ赴き、そちらから DL 購入を済ませた。これだとメーカーはかなりいいマージンを Apple に支払わなくちゃならいのは解ってはいるしメーカーを応援したい気持ちもあるんだけど、App Store 経由で購入をまとめておくことがメリットになりつつあって、何かというと、ひとつにはカード情報等情報セキュリティ面の安全さ、それから支払い決済情報が1カ所にまとまるわかりやすさ。(年末に、どこのがどれで…とやらなくていい)翻っていうと、メーカーから買うというのは、ウェブサイトのフォームを入力して、送信して、confermメールを受けて、ユーザーIDかシリアルをコピーペーストして、利用開始になるという手間がある。それにもしもconfermメールが受信できなかったとして、おそらくその後の連絡やなんやは、海の向こうということもあって、すごくすごく面倒くさいというネガティブなリスクもある。もしもそんなことをまじめに考える必要があるのだとしたら、購入金額なんかどぶに捨てていいやって想える程度に、気が重い。だったら、AppStore を使おう、となる。

そりゃ事がどうあれ、その功罪は50%ずつあるとは思うけど、それでも結局、Mac AppStore の登場によって、アプリケーションの違法入手、違法コピーニーズって全体としては減る方向に作用してるんじゃないかとか推察。加えて、いままでアプリにお金を出さなかった層が、たとえば85円とかでも、出すように変化したんじゃないかと推察。2個の推察からさらに仮説すると、結局総合するとアプリの流通は、額面では無く、流通数の面では増加したと言えそうなんだけど、実際、どうなんだろう。

業界として客単価は増加、逆に商品単価は下落。業界全体として市場規模は拡大、と同時に違法コピー撲滅にポジティブな方角。個別メーカーには、(市場に陳列できる分)認知のための広告宣伝費や包装費の負担が幾分マシになりリーチしえなかった意外な集客もありうる環境を獲得したけど、その分かそれ以上かのマージンを抜かれる構造。

結論側から見ると、胴元 Apple がそれなりに儲けているなら、其の分は、新たに市場に生み出された価値分で補われるか、さもなくば従来業界プレーヤーがしわ寄せを喰っているはずなんで、そのどっちかなんだろうなと。

でだから何なんだというと、市場原理をそっちのけでやれ人格モラルの問題だとか、やれ違法か合法かをやってると、その解消には多大な時間がかかるため事態は一向に前には進まないけど、市場原理を使ってモラルや違法課題をパスすることは可能なんだということを改めて認識しましたということ。もしもかりに泥棒だとか違法だという気の重い問題をプライシングの問題に置き換えることができるなら、けなげな生活者にとっても忙しくて前に進まない立法府にとってもとても前向きなんじゃないかと。

もっと砕いて言うと、違法ナニナニ問題がそこにある際には、実は単にヤダ値段高すぎっていうこの上なく解りやすい客観的事実があるはずなんだけど、物作りの旗手たち本人のプロダクトアウトっぽい思想とかほとばしる熱い想いとかによってその事実に目隠しがされてしまっていたり、あるいはまた経営的都合にあるところの回収を急く事情だとか各種中間マージン分とか製品価値を 1mm も押し上げない各種事由で首にコルセットされてるだとか、もうひとつには、こちらが指示した値段で買いたまえ困るよチミたち、だとかはたまた、ウチはずっとこの値段でやってきてるんだから困るよチミたち、という官僚的ないし供給(してやってる)側的なナンセンスな自己認識が根付いていたりと、ただひたすらそれだけ、なんじゃないだろうかと考えたってことです。

なので、商品価値を高めないけどレベニューに群がってきてマージン交渉してくる有象無象をバッサリ一刀両断して、できるだけ少ない構成員で物の価値を高め物をを売ることができる世の中になったら消費者もバカなコピー品なんか使わず健やかに生きてゆけるんじゃないか、とか思います。じゃあ Apple の Mac AppStore がそれにあたるかというと、それもよく判らないんだけど。


ヤバい経済学 [増補改訂版]