職場。ヘンテコなところでだけ、異様に正直者になるひとは結構多く、そのことが異常に面倒くさい。
最たる例があの、稼働が…、てやつ。次が、技量が…、てやつ。あとはなんだ、やりかたが解りません…やったことありません…か。最悪は、勉強してるんです…か。

そんなことは、個人に由来する課題のことは、つまり名刺の肩書きなり特別手当なり役職給なりを取得する時点で出来もしないようなことを並べ立てるという嘘をついた自分の過去負債をどうやって消化したらいいか解りませんなんてことは、大人である各々が胸に秘めておくべき事柄なんだし、人知れず解決してくれりゃよろしい。そんなことはどうでもよろしいから、今まさに作ろうとしているものが完成した後の世界をちゃんと共有したいのよ。その世界を、たとえば、ストーリーや企画書や図面やエクセルで、胸躍るようなテンポで、示してほしいよね。デザインはもちろん、成果効果の折れ線グラフも情報設計もメディアプランも、写真も映像もコピーも編集も、見積もりもスケジュールも。実行後の期待感を共有できなきゃプロジェクトの体にならない。未熟でダサくて臆病者であることがモロバレな出来損ないの嘘、パッとしない萎れた内容には、誰だってお金を出したくないしいっちょ賭ってみるかとはならない。

たとえば、仮にキャッチコピー1案で、出来上がろうとする世界の総てを伝えきって相手を痺れさせる自信があるんならそれ以上の工数は要らない（とはいえそれが最も手間をかけてるパターンなわけだけど）。それ一発で伝える自信が無いなら何か別のやりかたで痺れさせることのできる深度なりインパクトなりを勝手に思いついてくださいな。そういうのはプロの自己アピールの範疇のこととして、確りとよろしくやってください。誰かに手法を聞くようなことでもなけりゃ、誰かの了解を得るような話でもない。どの職能の人間も漏れなく、カネを出す誰かさんを如何にワクワクさせることができるか、いかに追い銭を叩かせるか、そのことに専門性を費やしてるのに変わりは無いんだから。

とにかくです、もうね面倒くさい。面倒だから、とりあえずでいいので前向きでクールでドキドキするような嘘をついて欲しいんです。で、それでそれを達成して結果嘘じゃ無くしてきゃいいです。というか、それを求められるのが、総てでは無いけど、仕事であったりするんでしょうよ。万が一、千が一、というか十が一が現実路線、それで事が上手くいかなかったとしても、どうせ謝る係は別でいるし、アンタの財布はこれぽちも傷まないのだから。
たいして守るものも無い、というかとっくに相当の嘘をつきなおかつ嘘では無いことにしましょうねと保証されてるなかで、何用かもよくわからないような保身は、いくらなんだって過剰でしょう。邪魔でしょう。確かに、0.5℃ 単位で管理された適温の浴槽の中でヌクヌクと、出来る範囲のことだけを夢想して時を過ごすってのはめちゃくちゃ気分のいいことだけど、それを望むなら、そのお湯の温度を管理調整する費用をアナタが誰かに支払って、ヌクヌクを得るべきだとおもう。

というか、それが何かの手違いで謝って得られたヌクヌクであったとしても、ひとたびそこに浸った大人というのは、それはもう見苦しいまでに、ヌクヌクを抜け出さないための理由を探してもって喘ぐよね。怒りでワーワー騒ぐヤツも居れば、涙がキラリのヤツもいて。でね、こう思うです。
そーそーまさにそれ。そのプレゼンテーション能力、持ってるとこの熱量、決してブレない獲得目標、演じきる力。それのどれか一つでいいから仕事へプレへ本来の資金源へ振り向けてくれ。嘘ですらいいんだから。

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