デイヴ・ラムジー (著)、「アントレ・リーダーの『情熱』仕事術」を読みました。

こうタイトルだけ晒すと、なんとも暑苦しく読めてしまいますが、内容はすごく安定的で共感ポイント、賞賛ポイントとも多数です。目新しい記述はそんなにはないけどしかるべき考え方やしかるべき判断に関して詳しく説明されていて、現実の世界でありがちな心の揺らぎや迷い、不安を取り除いて自信を与えてくれる効用があります。

その効用はどこからくるんだというと、著者が経営者として長い経験を持つこと、著者がフィナンシャルアドバイザー(お金の専門家)としてサービスを成功させてきていること、それからスタートアップ事業経営者としてリーダーシップを発揮してきた実体験などなどの裏付け要素。

なにかこう、ワークスタイルだの、ライフスタイルだの、トレンドだの、自分らしく生きるだの、セレンディ…だの、売れる営業マンは云々…だのと、成功の表層を上滑るばかりのものとは一線を画すといってよいように思えます。学ぶべき要素を含んだあるひとつの物語として図書へ挑む場合には、裏付けのグリップ力はこの上なく重要だということを再認識しました。です。

たとえば、借金しないで起業することを勧めてたりします。このたったの一事にしたって、言う人に言わせたら「まず金借りんだよ!」とか「結局借りた方が強いんだよ!」とか「最悪返さなきゃいいんだよ!」とか平気で吹く訳知り顔はかなりの割合でいますからね、真面目に、いる。思ってる倍いる。そういったシーンで、謙虚な(だけの)パーソナリティの人なら「はー、さいですかー!」と借金をこさえてしまうのかもしれない。でも、そんな言説は普通に考えて間違っているのですから、真に受けちゃ行けない。たとえ世話になった先輩が言うことでも、前職の上司が相手でも、そう思えないものは受け入れてはいけないです。でも、そういった論が断じて間違ってるってことを誰かに支えてもらいたい気持ちがあるのも正直なところ。そういう状況に効く裏付け力があるなと思います。

またたとえば、節税のために物かサービスを買っとくと良い、ということを言う身の回りのオジサマはどこにでもいるはず。なんですが、やっぱりこれもしっかりと眉につばつけて聞いて無くちゃいけない。10万円の還付を受けるために不必要かつ高額、400万円もする社用車買っちゃたら結局それは、利益-390万円(償却期間とかの件は抜きで)でしかない。損してるんだと。普通にかんがえたら小学生でも解ることなのに、税理士の肩書きの人とかに神妙な面持ちで意味有りげに言われたら「へい、そういうものですかー!じゃあ年度内につかっちゃいますか!」となりかねないわけで。そこは「そんなわけあるかいー」と突っ込める裏付けをしっかりと備えとかないと、世の中は渡っていきづらいわけです。

概ねそんな感じで、あたかも頼りなげにさりとて自信ありげに、ただフラフラと世迷い言についていくだけの情けないリーダーにはならないよう、世の事の真偽を評する自覚を備えるには良いんじゃないでしょうか。

原著タイトルは「EntreLeadership:EntreLeadership: 20 Years of Practical Business Wisdom from the Trenches」

僕は、もう一回読み返します。
別にリーダーであろうとは思ってませんがそれでも、知らないと、考えないと、解らないと、肝心の判断ができないから。


アントレ・リーダーの「情熱」仕事術: 起業家精神でチームを導く