Mubz snap

日本酒好きの知人の薦めで寄った京橋の店「酒 龍馬」。ビジネス街丸出しの場所柄もあり広くはない店内のカウンターは満員。小脇のテーブル席も満員。おじさんだらけのスーツだらけ。

が、10時を越えたらそれなりに店内は落ち着いてきて、気がつけばボク等が最期の客になってしまっていました。客も減り手すきの女将に店名の由来について聞いてみたら、案の定。女将は坂本竜馬が好きなんだそう。好きが高じて高知へもしょっちゅうということらしいので相当なフリークです。やっぱりアレですか?と聞けば司馬遼太郎作品が燃料になっているそう。ボクも大好きですはい。
で、この龍馬好きのせいなのか、むしろ豪傑の姉乙女の影響か。女将はのっそりとした男らしい語り口。

で、その男らしさというか、無骨によるところなのか。店の売りは文字通り「酒」。看板に偽りなしです。くれぐれも食べ物ではない。飲み物です。なにせ最初のお通しが、九つに区切られた一辺が 30cm はあろうかという正方形の真白い器。この一辺 30cm にアスパラだ、エビだ、練り物だ、ほたてだと 9 種が盛りつけられている。小食の者ならこのお通しだけで十分お腹いっぱいになれるし、それなりに喰う者でもこれだけ出されたらとりあえず食欲はおちつく。これはもう女将からの、食い物なんか頼んでんじゃないぞ、酒を飲め酒を。というメッセージとしか取りようがないというものです。だけど、ご飯にこんもりと海苔を盛った卵かけごはんだけは別です。締めにこれを食べないわけにもいきません。

で、肝心の酒は女将が直に蔵に通って仕入れているということ。その仕入れ上の有利なのか、値段は高くはない。十四代も亀泉もいいけど、ここはひとつ豊盃倶楽部を飲んでおくとよろしい。


竜馬がゆく〈1〉 (文春文庫)