岩田松雄さん著「ミッション 元スターバックスCEO が教える働く理由」を読みました。

つい先日に稲森さんの「人を生かす 稲盛和夫の経営塾」を読んでそっちはそっちで深く感銘を受けつつ、岩田さんの「ミッション」もとても共感を覚える内容。
どちらも経営理念について記されたものなのですが、その向き合う姿勢は、稲森さんが創業社長らしい徹底的にストイックな印象ですが、岩田さんはそれよりもハッピーな事柄が印象。そもそもがマッチョな精神の持ち主には稲森さんのような思想哲学で突っ走ることが向いているのかもしれませんが、心身脆弱な普通の人、たまには息を抜きたい、たまには歓びを感じたい、たまにはおふざけもしたい、一体感だって欲しい。そういう思いのある経営者の人には岩田さんの思想の方が向いてるのかなとか。そういう印象です。すがすがしい、潔い、依存しない、こだわらない。颯爽とした印象です。

僕個人としては精神的に成熟してないと思ってます。強くない。だから岩田さんスタイルでないと実行と実現と暮しと継続ができない。人間らしく生きていかれない。また反対に自分の上に社長を頂く場合についても、岩田さんスタイルで居て欲しい。経営者だけが孤独を耐え、苦渋を舐め、ストレスを耐え、辛さを気取られまいと表情と言葉を繕うことをして欲しくない。その様は、普通のセンスの持ち主ならば、側で見てればいやでも伝わる。そういうことをされる事がかえって辛い。むしろ経営者自身が率先して、また従業員と平行して、幸せになってって欲しいと思うからです。まあこの辺のフィット感は情熱やら、天啓やら、個人個人のコンディション次第なんだと思います。あるいは時代性なのかもしれませんね。

あと本題ではないですが、挿絵が利いてます。こ気味の良いプレゼンのスライドのようです。

30ページ

「自分には、商売の感覚があると思う。ザ・ボディショップでも売り上げを2倍にしたし、アトラスという企業も再生した。ビジネスのセンスは・・・」
話を続けようとすると突然、ハワードは私の言葉を遮り、身を乗り出して言いました。
「商売の感覚ってのは、つまり “スメル” のことだろ?」
ああ、私の感覚が通じた!
「そのとおり!」
「すごくわかるよ!それ。匂いがわかるんだろ?」
ビジネスプランを論じたり、難しい経営学の用語を駆使して話をしたりするのではありません。

34ページ

ミッションを強く自覚すると、それを達成するために、自分なりのロードマップが描けるようになります。その線上に、たまたまフリーランスで、ノマドワーキングでいくべきと考える時期があるのなら、そうすればいいし、会社にいたほうがよければ、そうすればいい。
でも会社勤めはもういやだからフリーランスだ、ノマドだ、と流されていくのは、かつてのITバブルの若い社長たちと、何ら変わらないと思うのです。

153ページ

もうひとつ重要な問題は、どうして○○をしなければいけないのかを、一切考えなくなることです。だって、もう指示されたのだから、あれこれ考えたって仕方がない。
お客様には「こんにちは」と声かけすることにしていますから、必ず実行するように。そう指示されれば、見事にそこら中で「自動こんにちはマシン」が勢ぞろいしてしまうのです。
本当に大切なのは、「なぜそうするのか?」を、しっかり理解してもらうこと。あるいは常に自問自答することです。

180ページ

私は従業員の中に漂っている空虚な雰囲気を感じとり、信頼している何人かに話を聞くことにしました。
驚きました。彼女たちがモチベーションを下げてしまった理由は、お客様に対する「罪悪感」だったのです。
今日は1000円で売っている商品を、明日からはディスカウントしろと上が指示している。でも、今目の前で喜んで1000円を払ってくださるお客様に、「明日からは800円で売るんですよ、明日買ったほうがいいですよ」と明かすことができない。

187ページ

「企業の社会貢献って言いますけれど、それはあくまで建前なんでしょう?」
彼にとってCSRとは、言うならば「かっこつけ」であって、しようとしまいと会社の持続性には何の影響もない。むしろ業績が悪い企業では予算なんてつけられないから、CSRは成り立たないのでは?ということなのです。
私は、ちょっと言葉を失ってしまいました。
社会貢献自体が会社の存在理由、つまりミッションであることが、ご理解いただけなかったようです。

191ページ

「日本を今一度せんたくいたし申候」
私は坂本龍馬のこの言葉が大好きです。
志士たちには、自分の命に変えてこの国を守りたいというミッションがあった。自分が江戸に着くのが一日遅れれば、日本の夜明けが一日遅れると東海道を走りに走った。だから心打たれる。
あとから考えれば、無知なもの、偏狭なもの、時代遅れのもの、そして時代を先取りしすぎたものもあったかもしれない。でも彼らなりに悩み、自分でミッションを構築し、それを信じ、ときにぶつかり合ったからこそ、この時代は他の日本史にはない輝きを放っています。

216ページ

私がリーダーの役割でもっとも大切だと考えるのは、御用聞きです。
最近どう?
元気?
何か困ったことはない?
現場にそう聞いて回る。それこそがリーダーの仕事です。
これが社長の場合はなおさらです。何か問題が起きたとき、もっとも強い解決能力を持っているのですから。

252ページ

気をつけないといけないのが、自慢話です。
自慢話をするということは、現状に満足してしまっている証拠です。こうなるとインプットや勉強がおろそかになってしまいます。
伸び続ける人は自慢話をしません。いろいろな人を見ていて、この人はすばらしい、ぜひ見習いたいと思っていた人が、あるときからやたら自慢話を始める。するとその人はそこで成長が止まってしまって、それ以上のポストにいかなくなる。

269ページ

『竜馬がゆく』は、転職を迷っているとき、あるいは新しいチャレンジを始めるとき、無性に読み返したくなります。志(ミッション)や元気を活性化し、一丁やってやるかという気分を奮い立たせてくれるのです。

271ページ

私は日産自動車時代、一度ノイローゼになりかけたことがあります。
結論から言えば、心療内科の予約を取ったことで安心し、結局医師や薬の世話にはならずに済みました。

274ページ

しかし、抜け出せないかもしれないと思ってしまったとき、精神を病んでしまいます。とにかく、悪い状況と言えども、決して永続するわけではありません。それを忘れないことは、メンタル面の健康を維持するためにとても重要なポイントです。
同時にノーと言える勇気、あるいは、いざというときは逃げ道に駆け込むことを恥と思わないでください。


ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由