記憶にある限り、本選びにおいて大外しするってことはそうそう経験がないのですが。いやー。もうなんですかね、今回は珍しく盛大な空振りをしてしまいました。言い訳したいけどそれはしません。普通にこっぱずかしい選球眼。

大空振りがどんなにこっぱずかしくてもめげることなく、むしろもう一発上塗りしてやろうかの勢いで一塁へ向けて全力振り逃げダッシュをかましてみました。こうなったら一種のネタとして押し通す気概のみです。まあ普通にアウトになっちゃうんだけど。

というわけで○○○著「■■■■の哲学」を読みました。簡単に構成を説明すると、著者が過去接してきた掲題の方々の行動傾向と、その背景にある事情の類推について描かれた一冊。なんですが・・・。

だってさー。書かれている内容が根本的に飲み屋でオヤジが語るオレ理論なんですもん。しかもご丁寧なことに三段オチの構成です。「判ってないやつはこう。そこそこわかってるやつはこう。でもなホントォォォに判ってるヤツってのはよぉ、こうなんだよ」的な三段。
だからそれ全部主観でしょ? 場合によってオレ語り混ぜ込んでるでしょ? なおかつ、そのときのオレはホントォォォに判ってるヤツのほうに勘定してるんでしょ。なんでオレのメールが朝7時かオメ知ってるか?みたいな。

ただですね、書いてる内容が間違ってるってんじゃないんです。これはくれぐれも。間違っちゃいないところは多分にあるとおもう。本人の経験に則って本人の中で体系としてあるんですよ、おそらく。
でも百歩譲っても二百歩も譲ってもどこまで譲ってもせいぜい個人の経験談、事柄への類推です。まして背景を知り行いをすれば、あなたも立派な役員になれるというのはまず無いわけです。これはどんな本にせよ当たり前ですが。
なので強いて言えば著者本人が生きてきた交わってきた経験から得られるのであろうところの体感値のお話が綴ってあるというべきものです。
僕は平生から世に完全に無用な本というものはない、そこに文字が綴ってある以上は何か拾うべき1行くらいは必ずあるというのを持論にしてます。なのでここにも全く何も見所がないとまでは言いません。書かれている内容をへーさいですかと懐に入れてみて我が身を引き締めてみるのも一つ価値です。そうしてみればいいし敢えて止めはしませんが、この出版が誰にとって最も気分がいいかって切り口から捉えると、完全に読者じゃないでしょう。むしろ明らかに著者でしょう。著者、気持ちいいだろうなー。
ちょうどいい加減のほろ酔いで気分いいんでしょう。だから、言ってなさいナ、と優しい目をして言いたいわけです。もう一つ二つ、三段オチのネタを披露なさいナとか。

そんなわけで。あらゆる文字列をネタとして読みこなせる大らかな読書マインドの持ち主はトライしてみたらいいとおもいます。が、僕の哲学という学問に関する理解の仕方が間違っていなければですが、タイトルにある仕事の哲学などというものは期待しないことです。眺める角度によっては面白いと言うことのみです。ミサワみたいなことです。

ちなみにそもそものところで、何を以て括りが「一流」の「役員」なのか。一流って何。役員って何故。そういう辺りにもなにかこう絶妙なフニフニした感じがあって味わいが深まります。