鈴木健介著 「カッコ悪く起業した人が成功する」(kindle)を読みました。Kindle 版 × iPhone の体裁は文字の大小がしっちゃかめっちゃかで読みづらかった。だけど内容はよかった。これでもかのシビアを経験談としてちゃんと描いてます。
真偽の程はよくわかりませんが、度々耳にしますね。起業後1年に8割は潰れているとかなんとかの統計。会社って思ってるより潰れるらしいです。はい。
著者の起業が1年内の撤退だったわけじゃないだろうからそのまま上記に該当するわけではないけど、潰れてしまうほうの8割の側の目線から、いったい何がダメだったのかを確り書いてます。一般的によく流通する経営哲学とかリーダーシップ論というのでは、どうしても話に甘味が紛れ込みやすく、貴方でも明日からできる!的な夢いっぱいのお花畑フレーバーが読後の到達点になるわけですが、この本はそういうのと真反対。ふわっとした気分でやっちゃって、それでもって大火傷するんだなあ、で、火傷の手当ってこうだよという苦み走ったフレーバーが到達点です。
著者の経験談だからというのもあるけど、それ以上にかなりの洞察力や分析力で色々と難儀な事柄、原因、どう構え、どう対処するべきだったのかについて克明に描かれてます。そういったところからすると運転前のドライブシミュレータ的に、起業のことが気になるひとは事前に読んでおくといいのかなと思います。これを読んで立ち止まるもよし、読んで進むもよし。あと、今社長業やってる人たちが読んで捉まえ方の軌道を修正するもよし、です。
トップを演じながら、現場の細部まで知って、大局を見据えつつ、ちいさい一歩一歩を着実に積み上げる以外にあまり方法は許されていないという点からすると、何を好きこのんでこんな難渋を背負って何を目指すのか。そこのところはもはや創業者個人の目的と目標しか支えがないのですかね。夢か、夢なのか。
余談です。タイトルでだいぶ損してる気がします。主意は間違っちゃいないんですけど、格好ワルイことが最上位概念ではないですからね。いかにもありそうなメッセージで内容と比べたらかなりチープ。もったいないな。