ピーター・M・センゲ著「学習する組織」を読みました。内容は、もう、このうえなく良かった。おしむらくは、翻訳が固いことと、もうひとつは kindle 版の販売がまだ追いついていないということ。580ページオーバーの新書を鞄に入れて持ち運ぶのはちょっとしんどかった。だけど苦労以上の価値を感じました。

339

実際、彼は自分のビジョンを表現するのが実に巧みなあまり、周囲の人を萎縮させてしまう。結果的に、彼の意見に誰かが公然と異を唱えることはめったにない。社員は彼のそばでは自分の意見やビジョンを口に出さないことを身につけている。
(中略)
つまり「社員を萎縮させて守勢に立たせておけ。そうすれば私の考えに逆らえまい」ということだ

340

大半の組織では、マネジャーのメンタル・モデルの奥底に「マネジャーたる者は何が起きているかを把握していなければならない」という信念がある。ある問題の原因を知らないかのように行動することは絶対に許されないのだ。高い地位に就いた人たちは、何が起きているかを知っているように見せる達人であり、そういう地位に就こうと余念がない人たちは、自信をもって知っているという雰囲気を身につけることを早いうちから覚える。

344

「私たちはジムの能力を疑うのを避けて通るつもりだ。疑うと対立するだろうが、それに直面するのは避けたいし、支持を装っておきたいからだ」。このように戦略が述べられていたなら、上司たちは間違いなくその戦略を否認しただろう。同様に、テイバーが「私は自分の経営が今のままでよいものか疑っているが、それは言わないつもりだ。軟弱だとか無能だとか思われるのではないかと心配だからだ」と言っていたなら、彼の自己防衛戦略は長続きしなかっただろう。しかし、誰もがそもそも習慣的な防衛行動をとる原因になるのと同じ根本的な恐れのせいで、誰ひとりこうした気持ちを声にしなかった。

375

「もちろん上司たちは徐々に、私がこうした成果を達成するためにこれまでと違ったやり方で社員たちとかかわっていることを把握していたでしょう。でも、彼らは決して、どうやってそうした成果を上げているのか聞いてきませんでした。ーそう、誰も一度たりとも聞いてこなかったのですよ。

379

「私はただ、仕事と私生活が一つの人生であることを望んだだけです」と語るのはユニリーバ社のブリジッド・タンタウィ=モンソーだ。

463

「皆さんの組織が一隻の遠洋定期船だとしましょう。そして、皆さんがそのリーダーだと想像してみてください。さて、皆さんの役割は何でしょうか?」長年にわたり、経営者たちのグループにこの問いを投げかけたときに帰ってくる答えの中で最も多かったのは「船長」だった。
(中略)
その見過ごされているリーダーシップの役割とは、「船の設計者」である。

474

「リーダーは英雄である」という組織文化ではうまく注意を引くことはない。支配したい、名声を得たい、あるいは単に行動の中心にいたいという欲求からリーダーシップをとりたいと思う人は、設計のようなリーダーシップの地味な仕事にほとんど魅力を感じないだろう。

545からの3ページは、是非、実際の本で読むべし。

原著は、「The Fifth Discipline: The Art & Practice of The Learning Organization」。


学習する組織――システム思考で未来を創造する