出口治明著「直球勝負の会社」を読みました。

内容はベンチャー企業ライフネット生命保険 創業・操業の舞台裏と、出口氏の学生〜職業人生のダイジェストいうことになります。なんといいますか、普通よりも中庸で、レガシー育ちでカジュアルな、大局を読む還暦の冒険者。なのであります。格好いいな。

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話は脱線しますが、私は本を読み、よく食べてよく寝る生活が大好きです(ようするにナマケモノです)。

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もともと、カーブやシュートを投げるのは大嫌いな性格です。谷家さんに会った時から、ど真ん中の直球(死亡保険)を投げることしか、念頭にはありませんでした。

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世の中の六〇%以上の人々のニーズが満たされるのであれば、可能な限り、枝葉を切り払って骨太でシンプルな商品設計を行いたい、これが私の考えたことでした。

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私は、レゴを組み立てるように、お客さまが自由に自分に必要な単品を組み合わせて好みの生命保険をつくれるような仕組みが、将来の生命保険の一つの理想形だと思っています。

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人間の営みのすべては、脳がコントロールしています。しかし脳の活動の中で、意識として知覚される部分は、全体のわずかでしかありません。全体のわずかの部分で必死に考えた将来の設計図を前提に、一歩一歩キャリアを築き上げていくような人生はつまらない、そう考えていました。「二〇歳を超えたら余生みたいなものだ」とよく友人に言っていたものです。

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自らの意志の力だけで何かを成し遂げた人は、とても少ないのです。チャンスを必死に求めたからといって、それなりの成果が得られるほど人生は単純ではないのです。ともあれ、自然体で自分に正直に生きようとすることが、easy-goingな性格の私にとっては、おそらく都合が良かったのでしょう。

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私たちは日本生命を訪ねて、「弁護士になるつもりだが、滑り止めにどこかの会社を受けておこうと思ってここにきた」という趣旨の話をしました。当時は、圧倒的に売手市場だったのです。「落ちたらぜひきてください」と言われて、私たちは京都に帰りました。ところが、二人とも司法試験に落ちてしまったのです。

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ところが、現実の世界では、九〇%の人が正しい解から外れてしまうのです。どうしてかと言えば、仕事の目的以外のことを考慮に入れるからです。つまり、上司がこの発想は嫌いだとか、この案は前回の会議で評判が悪かったとか、ついつい余計なことを考えてしまうからです。私は、可能な限り仕事本来の目的だけを考えようと努めました。

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人脈づくりのコツなどをよく聞かれるのですが、「来る者は拒まず、去る者は追わず」以外の回答は思い浮かびません。

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若い官僚に向けたスピーチを収録したもので、その骨子は概ね、次のようなものでした。「諸君は、上司を自分の仕事で説得できなければ、自分を無能だと思いなさい。なぜなら、上司の方が職務範囲が広く、細部まで目が届かないのであるから。また、お茶くみのおばさんに可愛がられなければ、決して偉くなろうとは思ってはいけない。なぜなら、失うものがない彼女たちは、諸君の人間性を一番よく見ているのだから」。これは今でも至言だと思っています。

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部下が、「どうしましょう。決めてください」と相談にきた時には、すべて追い返していました。私よりも部下の方がお客さまと接する時間が長く、お客さまのことをよく知っているはずです。

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これまでは、「ただいま、部長は打ち合わせ中です」と回答していたのを、即刻つないでもらうように改めました。後で電話をすれば、相手が不在の場合もあり、つながるまでにお互い相当のコストがかかります。

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社内の会議は三〇分か一時間と決めて、最初に会議の目的を相互確認することにしました。今日は何を決めるのか、ということです。

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共感を呼び起こさないビジネスや社会的意義の乏しいビジネスは、長続きしないと思います。

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私は三〇歳の頃、時間に束縛されるのがいやで、腕時計を捨ててしまいました。同じような理由で手帳の類いも一切使わないことにしています。


直球勝負の会社