出口治明著「仕事は6勝4敗でいい」を読みました。

「直球勝負の〜」と「100年経っても〜」についで出口氏著書も三冊目になりました。こう立て続けに読むと、その人となりが浮き彫りになりますし、ニコリとしたくなる趣深さがあります。各書をまたいで重複する内容も少なくないですが、むしろその姿勢の一貫に好感が持てますし、事に当たって泰然としていて、飄々として物事に頓着せず、素直で潔く、といって、言うべきについてはユニークでシャープな切り口が刺激的だったりもします。総じて、等身大の人格で生きて働いて書いておられるだろうということについて、親しみと尊敬を覚えます。

余談になりますが、今回は定着しきった感のある Kindle 版ではなく、iBooks 版で読みました。個人的な所感ですが、使い勝手や手触りはこっちの方が良かった。

90ページ

しかし、私には我慢料をもらい続ける数十年は、受け入れ難いものがありました。できるなら楽しく仕事がしたいと思い、知恵を絞ることにしました。

102ページ

極論すれば、仕事は人生の2,3割。どうでもいいことのひとつなのです。

226ページ

「上司の仕事まで出を出せるなんて神様が与えてくれたチャンスじゃないか」と思うことです。

261ページ

では、どうすればいいのか。
目指すべきは、6勝4敗か、5勝4敗1分。
わずかに相手を上回れば、十分です。

268ページ

私にデータをくれる側は、役員会直結の企画部だからしょうがないと思っているだけ。決して友好的に協力してくれているわけではないのです。信頼関係ではなく、組織内の関係が、1対10という不公平な等価交換を成立させていたわけです。
そこで、私は企画部で見聞きし、自分の知り得た、相手にとって役立ちそうな情報はすべて伝えてから、こちらの必要なデータをもらうように仕事のやり方を改めました。

273ページ

私は、相性の悪い職場、苦手としている業務からは逃れた方がいいと考えています。

274ページ

ところが、何もわかっていない経営者や上司は「誰にでも苦手なものはある。しかし、がんばれば克服できるものだ」「相性の悪い人とでもじっくりと付き合えば、打ち解けることができるものだ」と言います。
しかし、こういった考え方はまったく間違っていると思います。

276ページ

苦手なことを無理矢理やらせるのは、精神訓練のようなもので、一種のいじめと言ってもいいでしょう。

284ページ

結局、私がしたことといえば、「現実は小説と同じやな」「あの話に出てくるとおり、男の世界は女の世界よりも嫉妬深い社会なんやな」と客観的な視点を持って、自分を落ち着けることくらい。

286ページ

また、仕事の成果の横取りも当たり前に起きること。成功した大型案件があれば、何十人もの人が「あれはオレがやった」と言うものです。

293ページ

私は、自分の後輩が新しい道へと踏み出したことをうれしく思っていました。ところが、私の上司でもあった運用部門の責任者の反応は異なりました。相手の支店長に出入り禁止を言い渡して、追い払ってしまったのです。
この対応に私は怒り心頭。キレてしまいました。
上司に突っかかり、「あなたは大馬鹿だ」と一喝。

297ページ

繰り返しお話ししているように、私は精神論が大嫌いで、常に数字、ファクト、ロジックで考えるのがビジネスだと思っています。

299ページ

つまり、どんな組織も上に立つ人の器以上のことは何もできないということです。

311ページ

では、この話を通して何を伝えたいかというと、それは「人間のほとんどは、たまたまの偶然でいろいろな仕事に就いているにすぎない」ということです。

369ページ

決断に際して、私が決めているルールはふたつです。
まず、期日を決め、数字、ファクト、ロジックで考え抜くこと。
そして、それでも答えが出なかったら、直感で決めてしまうこと。

453ページ

ロジックとは、数字とファクトを駆使して、実証的な理論を組み立てることです。

475ページ

ある種の人懐っこさや明るさは、それだけで本人の財産と言えます。

502ページ

最善の選択は、「準備ができていなかったら、黙る」ことです。

510ページ

なぜなら、人は何度繰り返しても懲りずにミスを重ねてしまう動物だからです。周りからは「またやったのか」と、その人が3歩進んで2歩下がっているように見えても、本人は合わせれば5歩も歩いています。その歩数はその人だけのものであり、失敗や逸脱の経験は、確実に人を成長させていきます。

532ページ

そもそも、うっとうしい上司に喜んで「ほうれんそう」する部下がたくさんいるはずがないではありませんか。

545ページ

自分の非力に気づいているなら、役職や立場に胡座をかいて虚勢を張るのではなく、誰よりも一所懸命に汗をかいて仕事をすることです。

553ページ

私が思う中間管理職に必要な能力は、上の話を噛み砕いて部下に伝える力です。上に気を遣うのではなく、下を思いやると言い換えてもいいかもしれません。

557ページ

「同じことを何度聞くんだ?」と言われても、「僕は頭が悪くてわかりませんから、わかるまで教えてください」と食い下がればいい。

561ページ

しかし、私はこの言葉を「少数だから、精鋭になる」と解釈しています。

565ページ

私は会議に出る役職になると、遅刻者には「会社に2万円、返せ」と主張していました。

577ページ

「あいつは出口さんが会社で出世すると思っているから、走ってくるんですよ。裏で、僕たちにどんなひどい言い方をしているか知っていますか?」
「そうか」
「そんなことも見えないようでは、将来、危ないですよ」
私は部下に「ごめん」と誤りました。

592ページ

ヒラメ型の中間管理職に毒されたダメな会社を表す、こんなジョークがあります。
「現場で対処不能となるかもしれない大事故が発生した。
ところが、現場から係長に報告が伝わると、『大きい事故だけれども対処可能』となり、課長の段階では『事故は起きたけれども、十分に対処可能です』に。
これが部長には『何かが起こったらしいが、大きい問題ではない』と変わり、役員のところに上がった時には『現場で小さな出来事があったようだが、世界は何も変わっておりません』と伝わる・・・」

652ページ

「ノー」はいつでも言えるのだから、基本的には「イエス」としか言わない。

668ページ

私には英語がうまく話せないという躊躇はありませんでした。2年で日本に呼び戻されるかもしれないのに、しゃべれるまで待っていたら時間がなくなるだけです。

694ページ

私はこのことを「世界経営計画のサブシステムを生きること」と名づけています。

704ページ

したいことは自分の心の中にしかありません。幅広く動きながら自分は本当は何がしたいのだろうということをひたすら問いかけることです。

仕事は“6勝4敗”でいい 「最強の会社員」の行動原則50 - 出口治明
仕事は“6勝4敗”でいい 「最強の会社員」の行動原則50 – 出口治明