自信があると、環境へ操作を加えたいという素直な想いに、衝動に近い速度で行動をとることが可能になります。すると、その加える操作うちのほとんどは失敗に終わるわけですが、たまに上手くいく、つまり、自分にも周囲の皆にとっても喜ばしい新しい環境が誕生する場合があります。それは、極たまに偶然に起こる出来事です。この極たまに起こるケースを、仮に、成功と呼びます。
自信と引き替えに謙虚さを身につけていると、環境へ操作を加えたい想いは減りますが、その代わりに操作を正しく効率よく果たすためのプロセスの側に目が行き届くようになります。このプロセスの最適化は、概ねいつも、上手く行きます。しかしながら、プロセスの最適化は、作用ほど分かりやすい成果ではありませんから、高い評価を得ることは、ほとんど全く、期待できません。特に、何があったから成功した、というよりも、何がなかったから成功したという場合は絶望的です。
そのようにして、成功への最適化に尽くされる行為は、ほとんど、行われる価値そのものが認識されないか、あるいは見失われるようになり、ともなって、この役回りを演じる人も姿を消すようになります。
そうすると、実行の成否が確実に目に見えて、そして規模の小さな、無数の操作で世が埋め尽くされるようになります。反面、継続的で長期的、体系的で有機的な営みは、ただ時間の経過か、もしくは操作の過ちによって朽ちてゆくのを待つだけ、となります。
