Mubz snap Scansnap iX500

さて ScanSnap。現行最新のモデル、iX500。幸運にも初期不良もなく動作はすこぶる快調。まどろっこしい話は後にしてまず ScanSnap の働きについて結論を述べると、顕著にかかる作業時間を、手数を減らすことができた。本来1週間の仕事になるような内容が日曜の午後のつかの間の時間で済んでしまった。言うまでもないことだけど、すごーく助かった。

PFU スキャンスナップ とえいば

巷で電子書籍の可能性がおおいに騒がれた頃、所謂「自炊」のお供として一躍注目を集める製品になったものだと記憶している。断裁機とセットで買うのが定番で、各通販店舗でもセット商品なんかも販売していたように思う。今はもう騒いでるひとは見かけないけど、当時は無駄に熱かった。し、それに一般的なスキャナ機器の中ではなかなか高価だった。

ScanSnap 購入の目的

世に遅れを取ること数年。噂ばかりは散々耳にしていた ScanSnap にいよいよもって手を出してみた。主たる目的は名刺の管理。たとえ営業職ではなくても永らく怠惰にしていればそれなりに目を背けたくなる量のカードの束ができあがる。この束の中から案件に最適な人を探し出す…なんて必要にかられたら、そりゃ不可能とまでは言わないけど、気が滅入る。面倒くさい。かといってすべての名刺をコツコツとデータベース化しておけば…と今更悔いても仕方ない。
と、いうのはありがちなコンディションだと思うのだけど、そこで諦めてはいけない。発想の転換でキリギリス的思考に立って、きょうび ScanSnap あれば一発やーん、とかそう切り替えてみると気持ちが楽になる。

まあ所詮は名刺ですからそこに記載された住所も電話番号も、かなりいい頻度で移り変わってゆくもの。なんだったら社名が変わったり、会社自体が無くなったり、形を変えたり。取締役社長の肩書きが上位組織の部長の肩書きになってたり。そういうこともべつに珍しくない。なので度を超えて厳密にパーフェクトな名刺管理を目指しても仕方が無い。ただせめて人物の名と連絡先それから願わくばその人の得意な仕事領域についてだけ紐づいていれば、あとは縁さえあればなんとか手繰れるか..という程度のこと。なのです。

ScanSnap のセットアップ

とりあえずAmazon で購入したブツが届いたら直ちに開封してセットアップ。梱包をあけて、本体の保護材を取りのぞき、UBSケーブルと電源ケーブルとソフトウェアインストール用のCD-ROMを小脇に準備。それからまずわが家母艦の iMac にソフトウェア一式をインストール。起動するインストーラの指示通りに手順を進める。

  • iMac と ScanSnap をUSB接続すること
  • ソフトウェアをアップデートすること
  • ファームウェアをアップデートすること
  • ScanSnap に wi-fi 接続設定すること。
  • スマホ等モバイルデバイスと ScanSnap を(wi-fi越しに)繋ぐこと
  • PFUユーザー登録すること。

などなど必要となる一連の手続きはほぼインストーラの指示通り進めることで完了する。個人的にはインストールウィザードやセットアップウィザードとかの魔法使いには好感がもてないのだけど、殊ScanSnapに関しては、この辺の手際はとても良い。

ScanSnap とデバイスの接続方法の選択

上に挙げたとおりインストーラの示す手順通りに順次選択を行えばいいのだけど、とりわけ ScanSnap と各種情報端末の接続に関して。
今回、ScanSnap iX500 では、スキャンの命令とスキャンデータのダウンロードなどの接続方法について USB接続と wi-fi 接続とが選択可能になっている。スキャンするデータのサイズによっては USB接続が有利かなあなどと思案するところもあったけど、今回の主な目的が名刺情報(データ小さいはず)のスキャニングだということもあり、ここはひとつ身軽さ本意で wi-fi接続を選択。
速度や安定性で選べば USBに一日の長があるとおもってるのですが今後長い目でみて、作業にあたり都度都度 USBケーブルを探したり、PC背面と繋いだり/抜いたり、ケーブルを仕舞ったりするのかとおもうと非常に煩わしい。また逆に wi-fi 接続を選択してなにか害がありそうかというと、特段見当たらない。家庭内の他の通信を逼迫させるほどの通信量もないし、またスキャンする頻度も、そうそうはない。とうわけでここは wi-fi接続一択。だからといって iPhone や iPad から読み取りをする予定もなし。

名刺情報の管理ソフトについて

名刺記載の情報は iCloud でのシンクも念頭に OSX & iOS 共用の「連絡先」を選びたい。「連絡先」に情報を取り込むには、vcard形式でのインポートが近道に思う。スキャニングしたデータ一式を vCard 形式にして吐き出すにはどうするか。
ScanSnap には名刺管理用の付属ソフトとして CardMinder v5.0 が提供されている。この CardMinder は立派な DB機能を持ったもので、これ単体で名刺情報の管理を完結させることも不可能じゃ無い。けど、vCard のエクスポートする機能も備えているので、これを利用して他のアプリへデータを引き渡すことができる。今回はこれを利用。
また余談になるけどここではよく出回っている話には乗らず Evernote への保存は考えないことにした。Evernote の無償アカウントの保存容量上限からして、今回名刺のためにノートを沢山作ってしまうと、直ぐに天井がきてしまう。有料アカウント乗り換えが必要になってしまう。まだそれはやだ。

手繕いと違う点

名刺の記載情報を一度は手入力で頑張る構えをとりつつ、思案した結果、ScanSnap を購入する流れとなった今回。
実際に手で入力していたら…と考えるとゾッとする。

手入力しなくていい=楽できる、浮いた時間ができる
スキャン画像もデジタイズして保管できる=ミスの心配が無いので紙の名刺を倉庫の奥深くへ仕舞える

こういうメリットを享受しない手はない。「もしアルバイトを雇ったら」の原則でいくと 4万円未満なら安いもんだといってよいとおもう。
それでもなお。いかにOCR 精度が増したといえども当然ミスの発生は不可避だ。当然のことながら文字認識の時点でのミスの出現頻度は、人間の目視以上に発生する。特に対象が名刺の場合には、

  • 極端に級数の低いフォントが使われていること
  • めいっぱい個性を主張するフォントが選ばれていること
  • 文字組がきつきつ
  • 紙質が悪い
  • 情報要素の置き位置に統一性がない

など、読み取りの難易度を高める工夫が至る所に施されている。人間の認識力や柔軟性ならなんとでも処理ができるが、機械ではなかなか難しい点が多い。
なので ScanSnap で読み取り後の目視チェックは不可欠。それにミスを訂正するのは残念ながら手作業となってしまう。
だけどそれでもなおゼロから手入力するのと比較すれば圧倒的に速い。ちなみにスキャン速度も速いし、OCR処理もすこぶる速い。700枚強あった名刺の読込み〜文字おこし処理の初稿をたった2〜3時間で提出してくるのは人間業ではまず不可能。
さらにちなみに。ScanSnap は、名刺の中の様々の要素「姓名」「所在地」「電話番号」「FAX番号」「携帯番号」・・・などをある程度勝手に汲み取って適切なテーブルに格納してくれる。どうやって実現しているのかはよく判らないけど、これには実際のところかなり感動した。鳥肌もの。

他の用途は?

まず、向いてないと思える群から。
出版物の自炊はするかということだと、これは現時点では想定していない。折角自炊派の供、ScanSnap があるのに勿体ないことだけど当面予定はない。なぜならすでに図書購入自体が電子書籍で購入するケースが割合として 5 割に迫っている。興味がある本があってもそれが電子書籍として販売されていないなら購入を見送るほどになってきた。似たテーマの電子化された図書を探して読めばいい。
もうひとつにはわが家の膨大な図書(主に漫画)を整理する際には使いたいと思っているのだけど、なにせ 50巻立てのコミックの群れだ。いかに scansnap があるとはいえ、これをデジタイズする作業にはこちらの骨が折れるとおもう。スキャンする時間と労力を払うくらいなら amazon で電子書籍版で買いなおすほうが経済合理性として正しそう。と、おもっているから。
そのほかレシートや伝票の類いについても、スキャンの候補にはあがる。これはそうするのが良いのかもしれないけど、レシート現物を捨てることとその効力を失効することの関連性におびえてしまうところがあるので、結局現物を残すのならばスキャンは要らない気がする。

次に向いているかもなと思える群。
手書きのノートやメモはスキャンしてもいいとおもう。OCR はまず無理だけど「データ化して紙を捨てる」というフローにはとても向いた素材だとおもう。それにひととの共有も捗る。
あとは新聞や雑誌などの 1ページ、1記事をクリッピングするのには使うとおもう。これも「データ化して紙を捨てる」フローにピッタリくる。ほかは家電製品のマニュアル。それから携帯電話等の契約書類。とくに契約書はどこに仕舞ったのかを忘れることが多いので、データ化すると、利便が高い予感がする。

そんなわけで。ScanSnap iX500。とってもいい買い物でした。

FUJITSU ScanSnap iX500 FI-IX500