突然なんですが。

胸骨ワイヤが厄介

過去の胸骨を割る必要のある開胸手術を受けたなら、概ね全員が、一度割った胸骨を一つに留めるために胸骨ワイヤというものが体内に入っているはずです。
この胸骨ワイヤが、今になってなかなか厄介者で、どう厄介かというと MRI 検査を受けられない可能性が出てきてしまいます。
知っての通り MRI の検査というのは、強力な磁場を作ってそこに身体を晒すことで、体内の模様を画像化する技術なので、金属についてはとてもデリケートなものらしいです。腕時計外してくださいとか、指輪貴金属外してくださいとか、刺青はいってませんね?メイクはしてませんね?とかそう言う手合いの確認は全部金属を含むものに関する事前確認ということ。

胸骨ワイヤの材質にも色々ある

で、先に挙げた胸骨ワイヤというのは、ワイヤとはいいつつその材質は金属である場合がほとんど(のはず)です。なので金属を身につけた状態で MRI 検査を受けることは好まれないということになるらしいのです。

胸骨ワイヤの場合「絶対無理」ってわけじゃないけど、でも「デリケートに」って感じみたいです。ネットで調べてても、胸骨ワイヤが体内に入っていても MRI 検査は出来るという意見の人もあれば、危ない(思いをした)という人もあるという具合で。なかなかその意見に統一性は見られません。バラバラバラ。そんな状況ですから、正論として「念には念を入れて判断と受診にあたる」というのが普通だとおもいます。当然、病院側としても患者や受診者に万が一にも事故を起こすわけにはいかないという思惑はあります。結果、基本的に「デリケート」にならざるをえない。そこの大人の事情は良く判ります。

それでも MRI 検査を受けたい

が、こちらもこちら、事情が有るというものです。まず、MRI を受けることが出来ないと身の潔白(万全の健康)が得られない。また、MRI を受けられないがために身体に傷を付けるような検査を受けるのは力一杯避けたい。仮に身体にチコッと小さな穴を空けるような検査で代替するとしても、事前の入院が 2日ほどあるということで時間が惜しい。というかもう総合的に判断して、MRI 受けさせてくれ。頼む!って感じです。

やるべきこと

そんな訳なので、ある程度安心して検査を受けるため、リスクを最少化して見せるため、ひいては MRI を受けるために何をしなくちゃいけないかというと、過去開胸手術を受けた病院に連絡して、胸骨ワイヤの材質を確認することです。
自分の体内にある胸骨ワイヤが金属であることにはほぼ疑いはないにせよ、その材質がチタンなのか、ステンレスなのか、鉄丸出しなのか(つまるところ磁力の影響をどれくらい強く受ける物質なのか)その辺の情報を確りと明確にして提示することで MRI 検査ができるや否や医師の判断を仰ぐ一個の材料にはなります。

当時の病院に聞いてみた

僕の場合、開胸手術を受けたのがもう 20年も前のことです。ですから事前の予想として、きっと当時の情報なんかはポイと捨てられて残ってないだろうなという諦めに近い気持ちを抱きながら、一応当時手術を受けた病院へ電話してみました。20年も経過してますから病院の所在地も変わってしまってましたが・・・。ネットで調べて電話番号を洗うことができました。便利だなー。
余談になりますが、過去の治療歴なんかを聞き出すために電話なんかすると、先方には露骨に訝しがられるわけです。「あ、え、何こいつ。ま、まさか・・・訴訟でも?」というところなんですかね。でも幸い適正な人格に電話を変わってもらうことができて、結果的にはこの上なく良く対応してもらえました。余談まで。
電話ではまず電子カルテ化されているか調べてもらいます。もしされていれば検索で直ぐに出ますからね。で実際調べてもらったところ電子化されていないという結論が直ちに出ましたので、紙物の資料が残っている可能性を見て院内を探すので時間をください、となりました。その後、翌日には病院の方から電話をもらうことができまして、僕の体内の胸骨ワイヤがステンレス製であることまで、確認できました。この件を担当してくれた彼はきっと倉庫の奥深くの古ぼけた段ボールかなにかからカルテを引っ張りだしてくれたんだと思います。本当に感謝。
ちなみにですが、もう一段掘り下げた情報として、ステンレス製ということ以外に、ワイヤのメーカーや型番、また詳しい材質なんてことまで判るかどうか聞いてみたんですが、それはさすがに記録が残ってないということでした。残念。

担当医に伝えてみた

この情報を持って、現在お世話になっている医者の診断を貰うことになるわけです。
僕の場合には、幸いオッケーがいただけました。
一応医師からは口頭で、MRI 検査時に磁場によって胸骨ワイヤの位置が動く可能性がある(ゼロではない)ことや、胸骨ワイヤが高熱を帯びて火傷に至る可能性がある(ゼロではない)といったリスクがあるんですよという重目のブローをもらいます。そんなこと言われたら正直ちょっと恐いんですが、そこはポーカーフェイスで「ええはい。万事承知です」みたいなサラッとした感じで対応しました。(ここは人それぞれの価値観で、どうぞよろしく。)その上で検査を受けるわけですが、万が一、検査中におかしいなと感じ取った場合には直ちに検査を中止できますということで、こちらも一安心。

MRI 検査を受けた結果・・・

実際の検査の行程は割愛しますが、MRI の筒の中では、四肢をガッチリバンドで固定されますし、腹の上に重い板のようなものを乗せられますし、息苦しさを感じるほど狭く、そして機械の音が激しくうるさかったです。また検査中は、体の各部がホワホワと暖かくてちょっと気味が悪いものでした。でも、事前に緊急時の押しボタンを握らせてもらえるので、安心。試しに、1回だけボタンを押したら、ちゃんと検査を中断してもらえましたし、ね。そして肝心の点ですが、胸部にあるステンレス製の胸骨ワイヤ3本は、熱を持つことも、移動することもなく、何事もなく検査を終えることが出来ました。いやー、ほんとうに良かった。

まとめ

そういえば、ですが。僕はこの20年間 MRI 検査を受けていなかったことになります。今回、自分の身体をもってして検査に耐えることが証明できましたので、今後は積極的に MRI 検査を受けたい意欲ですはい。
最後に。自分と同じような境遇で不便や不安を持ってる人も居ると思います。そういう方は、担当の医師と確り相談して決めてゆくといいと思いますよ。

でした。

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