ほんとうにいつの間にか。
生き急ぐ性格になってしまったみたいだと、ふと、思った。
皆そうだとおもうのだけど、子供の頃はのんびりしてた。人より秀でようなどとは微塵も思わなかった。人より格好つけようなどとは、恥ずかしくて、思えなかった。授業のときに、手を挙げて指されるのを待つなんて、大人の気を引こうなんて、センスのかけらもない、恥ずべき行為だった。ダメだと言われるダボダボの半ズボンが履きたかったし、つぶれてよれよれの惨めな鞄の方が欲しかった。
のに、未来を急いで、今を物足りなく感じて、経験不足を焦って、こうじゃないこうじゃないといつの間にか信じ込むようになってしまっていた。もっと長生きするために、もっと金持ちになるために、もっと尊敬されるために、もっともっと。そんなことになって、今を味わうことを忘れて、楽しみを生み出すことをしなくなってどれだけ歳月が経ったんだろうか、とか。
恥ずかしいことですね。我ながら、なさけないよ。まったく。
人と並んで歩くのなんか思いもしないで、何も持たずに颯爽と生きて、何も残さずに楚々と逝けばいいよね。ダサく長く暮らす理由は何にも無いのよ。