遡ること、えーと、えーと。20年? 以上? も? 前。
学生時代に一通りは舐めたThe King of 軽めの文芸(ラノベ)、村上春樹作品に手を伸ばしてみた。ご存知の通り、そこに内容と呼べるものはない。よ。
「四つか五つくらいかしら。とにかくこんな小さな子供のころから使っていて、それの肌触りがないと落ち着かない、なかなか眠りに落ちることができないブランケットと同じようなもんよ。ただのその手触りというか、肌触りというか、なんといってもいいのだけど、それが手放せないだけ。触れているその時だけの心地よさそれだけが唯一にして最も重要なことなの。」
「ええ。ちっとも悪くいっているんじゃないのよ。ただ私にはそう感じられるというだけ。普段は決してしないそこに、用を足してしまったときのバツの悪い大きな三毛猫のような気分よ。あなたにも経験があるでしょ?」
それだけ言って彼女は霧散した。文字通り、まるで煙のように。そうして彼女は2度と僕の前に現れることはなかった。
みたいな感じのやつ。
好きな人は好きだろうし、嫌いな人は「なんだあんなもんっ!」って、「意味ねーな!おいっ」って。村上春樹のやりたいことってそういうものだと思うのですが。いわゆる小説とか、いわゆる文芸作品だとは思わず、美術館に展示される一種のアート作品として眺めたら、ほどほどの納得感が得られるのではないかと。
「ボーッと見てたら、あら、もう夕方」くらいのノリで是非。